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テーマ:原発について考える(377)
カテゴリ:東日本大震災
さきほど、この日記において、福島原発事故の刑事責任を民間企業たる東電に問う裁判の問題点を指摘した。 その指摘した論点として 国はもちろん特に地元自治体の監督責任や安全対策の不備(消防電源車などの無配備等)が、事故による被害を拡大させた最大原因であると主張した。 根拠事例として、住民を守るために自治体の首長が消防法を適用し、原発に対し使用停止命令を発動した事例を挙げておく。 ① 高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木)でナトリウム漏れ事故が起きた翌日の1995年12月9日、敦賀市長の河瀬一治は、もんじゅでのナトリウム取り扱いについて、消防法に基づく緊急使用停止命令を出した。事実上の運転停止命令だった。 ② 新潟県柏崎市長の会田洋は2007年7月18日、東京電力社長(当時)勝俣恒久と市役所で面談し、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)にある危険物貯蔵、取り扱い施設55か所すべてに緊急使用停止命令を出したことを告げた。 緊急使用停止命令は消防法第12条3により、市町村長などが、危険物の製造や貯蔵、取り扱いを行う施設の所有者や管理者に対し、一時的に施設の使用を停止させる命令である。 他にも消防法には、状況によっては、たったひとりの消防職員であっても、施設の運転を停止できるだけでなく、施設そのものを処分(破壊消防)できる権限がある。(消防法29条) 自治体または消防職員は以上の様な強力な権限と住民を守るための責任があるのであって、たとえ原子力発電所のような巨大な危険リスクであろうと、身をもって立ち向かわなければならない。 一民間企業たる東京電力に対し、すべての責任をなすりつけるような自治体や消防人が存在したことを、元神戸市消防局に籍を置いた拙者は恥ずかしく思う。 (写真は消防署にある放射能防護服、30年前に神戸でもすでに配備され、拙者も訓練した。地元消防には無かったのだろうか?) 追記 消防は個人の生存権と財産権を直接左右するため、関連法律に熟知していないと仕事にならない。 原発事故であっても、消防法には除外規定が無いため、防災活動は第一に地元の自治体消防が行い、現場の指揮権は出動した消防隊長にあるはずで、民間人たる故吉田所長や東電の社長は単なる参謀に過ぎないと考える。 もちろん、内閣総理大臣が原子力災害対策特別措置法にもとづく原子力緊急事態宣言を出した場合、総理大臣に全権が集中しますが、自治体を代表する消防隊長が、直接やりとりをすることになる。 平常時の運転は東電側が指揮し、事故時の防災活動は消防が指揮するということで、地元消防は、原発災害における被害想定並びに対処方法を研鑽し、防御計画を作成した上、毎日のように訓練にはげみ、自治体に必要な機材の予算を請求し、いつ何時でも、いかなる事態でも対応可能とすべき責務がある。 消防電源車の配備もそうだが、免震重要棟への電源接続コネクターも車両に装備して、ワンタッチで計器類や室内照明への電源供給を可能としておけば、おそらく、メルトダウンは防止できたと思う。 全電源喪失は、電力会社の方は想定外かも知れないが、消防の立場だと、災害現場では日常茶飯事なのだ。 なお、原子力災害対策特別措置法には消防法の適用を除外する規定はないことを追加しておく。
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最終更新日
2018年10月18日 13時26分14秒
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