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テーマ:お勧めの本(7360)
カテゴリ:読書ネタ
坂の上の雲(3) マカロフ戦死のときの東郷の心境はおそらく複雑だったであろう。戦いはまだ峠のふもとにさえ達しておらず、マカロフが死んだところで東郷が最初から負わされている絶対的苦境というのは解消するわけではなく、きたるべき主決戦であるいは負けるかもしれない。マカロフの身はあすのわが身であるかもしれないのに、ここで趣味的な演技をするむなしさといやらしさを東郷は思ったにちがいない。 (マカロフ p.346) 戦争って国と国とが戦うようで、実態は個人と個人の戦いってわけで、 それぞれの連環のなかで味方にも敵にも思うところがあって、 時が時なら、世が世なら、っていう自分の理想に後ろ髪をひかれる思いが 至る所でたちこめていたんだろうな。 東郷が何もしなかったっていう選択が、日本男児のいいところって感じで描かれている。 『むなしさといやらしさを思ったにちがいない』っていう断定が その後の東郷の地位を保証しているような気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.12.15 01:09:14
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