遠い世界にある普遍的なもの
かつてWOWOWの放送で観て、録画したビデオも2回くらいは観たろうか。ビデオデッキはもう持ってないし、なぜかDVDの発売がなく、再見したいとずっと思っていたエミール・クストリッツァ監督の『ジプシーのとき』を観られる機会があった。http://mermaidfilms.co.jp/unzaunza/まずは、なにはともあれ、この企画を実現してくれた方々に感謝である。久しぶりに、しかも大画面で観られたのが、とても嬉しい。あらためて、すごい、と思った。受け付けない人もたくさんいるとは思うのでうっかりおススメはできないけれど、でも、多くの人に観てほしいなあと思う。この映画、というか、彼の映画には、日本人ではほとんど(少なくとも表面上は)見られないタイプの人間がたくさん出てくる。それらの人々のうごめく姿をみせられると、めまいがしてくるような気分になる。その得体のしれないパワーと、映像の美しさ・独特の音楽が、映画として素晴らしいと思う。彼のこのあとの作品では、『アンダーグラウンド』がやはりすごいと思うけれど、映像の美しさに関しては『ジプシーのとき』の方が上かな。『黒猫・白猫』以降は、つまらなくはないけれど、この両作品とは比べられない次元だと思う。残念ながら。ハッピーエンドが好きな人には、むしろこれらのほうがいいだろうけどね。当たり前かもしれないけれど、すごい作品、素晴らしい作品というのは、いつ観ても、時代を越えて、社会を越えて、素晴らしいのだな、と再認識した。