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2010年05月19日
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カテゴリ:政治
 5月19日付 編集手帳 
 life〈人生〉、その中に大きなif〈もし〉あり――とは、文芸評論家、巌谷大四さんの随筆集『おにやらい』(三月書房)の一節である。英語の「ライフ」には「人生」のほかに、「命」や「生活」という意味もある◆人生にも、命にも、生活にも、危険はついて回る。危険の芽生えを見つけたときに「まあ、大丈夫だろうさ」とタカをくくらず、〈if=もしも…〉と最悪の事態をも想定して対処することが危機管理の要諦(ようてい)であろう◆被害が爆発的に拡大した宮崎県内の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」で、国の対応は果たして万全であったか◆最初の疑い例が確認されたとき、農林水産省は事態を楽観していたと聞く。赤松農相が「自分が行くと騒ぎが大きくなる。感染はほぼ1か所に抑え込めている」と現地入りを見送り、外遊に出発したこともそれを裏付けている。「私のやってきたことに反省するところはない」。きのうの記者会見でそう語った◆殺処分される家畜11万頭余の命があり、畜産農家の生活と人生がある。幾つもの〈life〉をずたずたにされた人々の耳に、大臣の声はどのように届いただろう。

(2010年5月19日01時36分 読売新聞)


 普天間移設問題にしても、同盟国の米国政府をやきもきさせ、沖縄住民を翻弄させ、月日を無駄に費やした後の今になって、自民党の現行案通りになりそうな現状・・。体面上、元政権だった自民党の案に難癖をつけ何としても違った案を出したかったが、厳しい現実に逆らうことは出来なかったという結果だった・・としか思えない。(元より想定内のことであり、直結した関係者は呆れていることだろう。)
 今回の宮崎県での口蹄(こうてい)疫の被害拡大も、現場からの再三の問題提起に対して後手後手になったというトップの農水大臣の対応の欠落の結果である。先の安全保障の上での普天間問題とも、危機管理意識の欠如という面で相通じることは否定できないはずだ。にもかかわらず、上記の記事のように、「私のやってきたことに反省するところはない」と発言する赤松農水大臣。責任逃れも甚だしい。省のトップとして失格ではないかと遺憾に思う。
 民主党の総理大臣を始め閣僚が問われる責任の問題は、かつて自民党の総理や大臣が総攻撃を受けた短なる発言ミスとかのような軽い問題ではなく、我が国の安全に関わる深刻な問題だと国民ももっと憂慮すべきではないだろうか。





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最終更新日  2010年05月19日 11時14分58秒
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