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2006.11.24
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カテゴリ:カテゴリ未分類
このブログでも時々取り上げてますSONYエンジニアかないまるさん犬PS3考察は非常に興味深いものですね。オーディオの原点が見えてきます。以下長文ですので2回に分けてが抜粋します

TA-DA3200ES(ソニー最新アナログマルチアンプ)は、この更新を書いている今日発売日を迎えました。ぱちぱち。実際にはすでに販売店にはモノを入れていますが、うれしいことにというか恐れていたとおりというか、今日現在ソニーの倉庫はカラっぽ。世界的に人気があり、工場はフル稼働ですが、どうも足らないようです。購入希望の方には申し訳ありませんが、もう少々お待ちください。

さて、TA-DA3200ESは192kHz 8チャンネルまでのPCMを受けられるように作ってあります。この仕様は、上位フォーマットが出てきても将来も使えます。なぜなら、今後発売されるBDプレーヤーは、よほど安いものでもない限り、多くは上位フォーマットをデコーダするだろうからです。特にTA-DA3200ESの人気がものすごく、HiVi誌さんのベストバイで全星の満点一位をいただくともなると、来年以後のプレーヤーは上位フォーマットをデコードして、そのPCMをはきださない企画は、よほど価格が低くない限り難しいだろうと思われるからです。

しかし今年バージョン1.3をもたないAVアンプを発売するにあたり、社内的には「売れないかもしれない」との不安があったのも事実です。

でも、HDMIは、万能のデータであるPCMを8チャンネルも同時に伝送できます。高級機をパスするのはまあわかるとしても、低価格機で躊躇する必用は全くないのです。ユーザのみなさんにも二重投資をしないでも良いということを理解していただきたかった。上位フォーマットをデコードしないAVアンプでも、HDMIのPCM伝送の音がマトモなら安心して購入できるという土壌を作りたかった。なので、今年かないまるは、異常に燃えました。

ちなみに、なぜ従来プレーヤーがマルチチャンネルのデコードに熱心でなかったかというと、デコードしても、その結果であるPCMマルチチャンネル信号をデジタル伝送する方法がなかったからです。

例外的に i.LINKが6チャンネルのPCMとDSDを伝送する能力をもっていましたが、映画制作は、すでに8チャンネルでの制作 (つまりディスクリート7.1チャンネルで記録する)という音作りは例外ではなくなりつつあるようで、 i.LINKの規格を超えてしまいました。今後はHDMIに急速に移行して行くでしょう。

しかもHDMIは音がよい理由があります。テレビ用のフォーマットだと思ったら大間違いで、オーディオ専用の伝送路として使っても、音質的にみて高音質にできる理由があります (この件については、おいおいご説明します)。

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さて、私がTA-DA3200ESの企画書を初めて見たとき、192kHz 7.1チャンネルのPCM信号を受けることができることにをもって「将来フォーマットを見越した仕様」と言い切っていました。なかなかうまい企画だな、とかないまるは感心しました

なぜなら、私は私で、ブルーレイディスクは、映画は生PCM (圧縮していないPCM、リニアPCM) を記録し、高級なロスレス圧縮は、結局はほとんど使われないだろうと思っているからです。これはあくまでもかないまる個人が30年以上にわたりオーディオの世界をみてきた結果出した結論ですが、数年で完全にそのようになるでしょう。

ちなみに上位の圧縮にあたるロスレス圧縮とは、エンコードしてデコードしても、エンコード前のデータに完全に元に戻る圧縮を意味します。基本的には生PCM伝送と同じになるという意味です。

ただしデコード時には演算回路やメモリアクセスが多量に発生しますので、物理的な電源ノイズがアナログ的に発生します。これがマスタークロックを揺らし、AVアンプ側にジッタとして伝わります。

このジッタは理論的には無害化できます。しかし、 i.LINKでケーブルを変えると音質が変わったように、アナログ的には必ず電源などに物理ノイズが伝わり、それがDA変換のタイミングクロックに突き刺さることで音質を劣化させます。

先般公開した補強で音質が変わるのも、やはりアナログ的にクロックの揺らぎが発生し、それがAVアンプ側に伝わり、電源経由、あるいは電波として直接結合することにより、DA変換をいじめるからです。

DA変換は、縦軸は数字で組み立てられますので化けようがありません。しかし横軸 (時間軸) は、マスタークロックが一定間隔の繰り返し信号であるということを前提に成り立っています。したがってそのクロックが揺れたら、波形は変化し、音は変わるのです。

マスタークロックが揺れると波形が変化することは TA-DA7000ES勉強会などで、このホームページ上では既出です。しかし、プレーヤで発生した電源ノイズや電磁ノイズは、クロック+クロックジッタとしてデジタル伝送路を伝わってAVアンプまで到来します。

AVアンプではそのクロックを使ってアンプ内のSRAMにデータを書き込みますが、同時にジッタを含むクロックのエッジ(立ち上がりや立ち下がり)は、ノイズとして電源に突き刺さります (実際オシロでこの波形は観測することができます)。

結局このノイズは、さらにAVアンプ側の振動モードでさらに揺らぎが大きくなりながら電源やグラウンドを伝わって必ずDA変換のところにも到達します。その結果このノイズはDA変換器 (S-Master PRO方式のデジタルアンプでは、パワーパルスそのもの) の時間軸に混ざり込み、最終回路のコンパレータの反転時刻を微妙に前後に揺さぶります。そして音質は変化するのです。

こう書くと、デジタル伝送は数値伝送なので音など変わるわけがないとかたくなに思っていたる方も、その自信にジッタが混入すると思います (あ、自信が揺らぐというシャレです)。

実はこの理屈、世界的に書いたものを見たことがありません。そもそもオーディオ業界にジッタと言う言葉を広めたのは、おそらくかないまるがラジオ技術誌に書いた記事によるとおもいます。もちろんケーブルで音が変わる理屈をきちんと説いたものは見たことがありませんので、おそらくこれが初出だと思います。

とにかくジッタはケーブルを伝わります。だからプレーヤの振動対策は必用です。必ずおかしなクセがないように筐体はチューニングされていなければいけません。ケーブルや接点も同じ理由できちんとしたものが必用です。これは信号生成の演算能力と同等以上にとても大切なことです。なぜなら、ジッタが多いと簡単に演算精度より悪い音になるからです。

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結論に戻りましょう。

このようなわけで、圧縮信号はデコード処理が必用で、その処理は電磁ノイズをばらまくので、生PCM (なにも処理しなくて良いPCM) に音質的に勝つことはかなり難しいと思います。

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また圧縮は「破綻」という問題があります。たとえばフルビットのホワイトノイズを入力し続ければ、圧縮のしようがありません。前後のデータと相関のないストリームはロスレスでは圧縮のしようがないのです。

したがって音源制作者は、破綻していないかどうか、映画の音をずっとモニタリングしてから商品化する必要があります。これは手間です。となると、圧縮なしの生PCMをサクっと記録した方が安全で手間がかからない。

破綻した途端に普通の圧縮で補う (音をつなぐ)という方法も考えつきますが、それだと本当のロスレスとは言えません。

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実は今は過渡期です。なので北米盤の既発売のBDソフトでは「生PCMトラックがDTS圧縮やドルビーデジタルに負けている」という例が残念ながら散見されます。本当に情けないことです。

しかし、現在試作中のソフトで、生PCMが圧縮トラックより圧倒的に音質が良いという、ゴク当たり前な現象を、かないまる自身はすでに確認しています。ソニー圏内の身内が制作しているものなので、まあウソや間違いはないでしょう。

その試作中のソフトの記録状況を簡単にチェックしたところでは、映像に37Mbps程度使っていました。それでなおかつ「生PCM+普通のDTS+640kbpsのDD」が入っていました。640kbpsのDDは高域のカップリング処理がないのでが、DDらしからぬ解放感があります。でも生PCMはさらに音数が多く非常によかった。

ブルーレイの容量はいまでも巨大ですが、映像圧縮が最新のものに代わり (今はMPEG2が大半で、画質はまだまだ改善の余地があります)、またディスクが多層化が当たり前になると、音声を圧縮する理由はほとんどないと言えるでしょう。

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さて、そうなると、AVアンプにとって一番再生が難しいのは、SACDということになります。SACDはDSDと呼ばれる1ビット信号で作られています。

この1ビット信号をそのままDA変換するモデルは、CD/SACDプレーヤにはあります。でもAVアンプはまずありません。ソニーのAVアンプには一モデルもありません (S-MasterのパルスをDSDと勘違いしている方もいるようですが、それは違います。

たとえば i.LINKでDSD信号がTA-DA9100ESに到来した場合、まずTA-DA9100ES内部でPCMに変換され:音場補正、デジタルシネマサウンド、トーンコントロールといった、ごくあたりまえの数値演算処理A してから、S-Master独自のパルスに変換ささます。

そういう意味ではDSD信号をPCMに変換するデシメーション処理が、かなり音質を握っていると言えます。

現在AVアンプで主流で使われるDSD-PCMのデバイスは24bitアーキテクチャーのDSPをコアとしており、最終の精度は21~22bit程度だと思います。

ではそれでだめかというとそんなことはなく、とにかく元はDSDですのでCDよりは確実に音質がよいし、そのクォリティーのまま高品位のマルチチャンネル音声が聴けるという意味では大変な存在価値がありました。

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しかしもし、もっとビット数の多い演算でデシメーションをおこない、24ビット精度がフルに保証されたPCM伝送路で信号が伝送されたらどうでしょう。DSDパルスをそままDA変換するCD/SACDプレーヤ (ただしアナログアウトのみ) を除いては、かなり高品質な再生が可能となるはずです。今まではそういう演算をできるデバイスはありませんでした。

ところが、できちゃったんですね。そういうプレーヤが。なんと64ビット浮動小数点演算で信号処理をおこない、完全24ビット精度でデータをHDMIに乗せるプレーヤが。それが何あろう、PS3なのです。

PS3はもちろんゲーム機です。ソニー本体とは企画も設計も営業も台数も違うゲーム既メーカであるSCEの作品です。しかし久夛良木社長は、早い時期から「世界一のマルチディスクプレーヤにする」と宣言していました。実際そのとおりになってしまったのです。
CELL_EB.jpg

これがPS3に搭載されているCELLブロードバンドエンジンというデバイスです。




とても参考になりますね。ここで紹介されてるマルチアナログチャンネルアンプTA-DA3200ESの写真も HIVI誌では全星獲得しました。manten.jpg下矢印
AV-SO-3200_big.jpg
中身はというと美しいですね 重量15.5KG これが実際価格9万台とお安い、まもるくんも触手の手がピクピク下矢印
TA-DA3200ES_001.jpg







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最終更新日  2006.11.24 12:09:38



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