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カテゴリ:診療報酬への怒り
4月から始まった新しい診療報酬改定の中で、夜間早朝加算と言うのがある。
これは文字通り、夜間や早朝に診療をしている診療所に対してそれを評価しようというものだ。 目的は勤務医の負担を減らすこと・・らしい。 多分よく分かってない人がいるので説明しておくと、通常の診療時間を終えて診療する場合は(一応、一旦診療体制を解いた後でまたドアを開けて・・と言う縛りが付いている)時間外加算である。これで通常の診察料の1.5倍となる。日曜祝日などに休診のところを開けて診療した場合は休日加算でこれは通常の診察料の約2倍、そして夜の10時から朝の6時までは深夜加算となって約3倍の診察料となる。これは従来からそうであり、4月からも同じ。 新しい夜間早朝加算というのは、通常の診療時間が夜間や早朝に入るように設定している場合に、その時間帯に来た患者さんに対してこの加算が算定できるというものである。 この夜間と言うのは、午後6時から22時まで、早朝は午前6時から8時まで、土曜日においては正午から22時までが夜間となる。そして日曜は午前6時から22時までこの加算が算定できる。 つまり、夜の6時で診療が終わる診療所は、6時以降に新たに来た(一旦診療体制を解いた後で・・分かりやすく言えばカーテンを引いた後で)患者さんには時間外を算定する。 しかし、当院のように19時まで診療をしている診療所は、18時以降に来た患者さんには通常の診療であっても50点(つまり500円)の加算が算定できると言うわけだ。 少し前に説明したように、外来管理加算と言うのが5分の縛りがついたおかげで算定できない患者さんが増えて減収になるけれど、その分この50点の加算で補うことが出来る。 当院の場合だと、土曜の午後は全部この加算が算定できるし、日曜も全部算定できる事になる。 患者さんの方はと言えば、1割の人で50円、3割の人で150円診察料が高くなるわけだ。 要するにこういう加算を付ければ、診療時間を延長する医療機関が増えて、それがとどのつまり勤務医の負担を減らす事になるだろうと言うのが狙いである。 アホか・・と思う。 例えば、診療時間を1時間延長したとしよう。その間に10人患者さんが来たとして、この加算の分が5000円。まあそれに通常の診療点数が10人分加わって増収になるわけだけど(患者さんが来ない場合もあるので、必ずしも増収とは言えないけど)、その為に自分の時間を1時間へずり、看護婦の勤務を組み替えて、下手したら新たにパートで職員を雇わないとあかんかも知れない。 そこまでして診療時間を延長する医療機関があるとは思えない。 この加算を算定する医療機関はもともとがその時間帯に診療しているわけだから、結局は患者さん負担が増えただけなのだ。大体、仕事終わって病院に来ようとすると6時を回ってしまうのが普通なのに、それにむち打つような診療報酬を作ってどうするのよ。 大体、この時間設定がいかにも公務員的だ。 土曜日の午後にやってる医療機関なんていっぱいある、と言うかやってない方が少ないと思う。 役人は自分らが土日休みだからそういう発想になるんだろうね。 この加算、実は手挙げ方式である。 医療機関によって算定してもしなくても良いのである。算定する場合は社会保険事務局に届けが必要。 当院は・・算定しています。だって、お上がそういうんだもん。アホな制度によって起こる減収はこれで埋め合わさせていただかないと。 けしからんと思う患者さんは、厚労省の方に文句を言っていただきたい。 大体、こんな方策で勤務医の負担が減るとは思えない。 なんで勤務医がこんなに疲弊しているのか? まず、色々と医療事故などの問題が起こったせいで、厚労省が危機管理委員会などの設置を求めてその長に医者が就任させられて、委員会の実施、報告書の作成など本来の業務以外の業務が沢山増えたこと。 それに新しい研修医制度のせいで、2年間どこの大学病院の医局にも新入y医局員が無かったこと。 だから大学の医者が足らなくなって、関連病院から中堅どころが呼び戻されて、残った病院の医者には仕事の負担が更に増えて疲れて止めていくと言う悪循環になってるわけだ。 どっちも厚労省が制度をいじくりまわったせいじゃん。 厚労省は医者の数は十分足りているなんて言うけれど、実働している医者の数は少ないし、名目上の医者の数も先進国の中では断然少ない。 まず、医者を増やして仕事の負担を減らす事が必要かな。 それとクラークなどを沢山養成して、医者の雑用を減らすこと。 それにもう一つ、医者が啓蒙し、一般の人もよく勉強して夜間の不要な受診を減らす事だ。 何が不要でそうじゃないか分からんと言うかも知れないけれど、自分の心と体の声に耳を傾けて、明日までに治さなきゃと言う時間の縛りを取ってしまえば結構受診を急がないと言うのはわかると思う。 社会的には、自分や家族が病気になればどうどうと休める社会を作ること。 みんな仕事に縛られてしまってるから、「どうしても休めないので明日までに治してください」と言う患者さんが夜中に病院に来る事になる。半日で治る病気はありません! 前の経験を生かす事も大事だと思う。 子供が熱を出す度、ゲロ吐く度にすっ飛んで来るお母さんがいる。 確かに心配だろうと思うけど、子供はしょっちゅう熱出すし、年に何度かはゲロを吐く。 前の経験から、ああこの前も1日で吐くのは止まったから明日まで様子見ようかな・・と思うのが経験である。 徳島の日赤は、4月から夜間の軽症の受診に対して2500円を自費で徴収することにしたらしい。 これは、あまりにコンビニ感覚の受診が増えすぎて、救急車に手が回らなくなったりして本来の救急の業務に支障を来してきたかららしい。 軽症かどうかは受診してみないと判断できないと思うけど、ある程度の効果は出ているみたいだ。 でも、これも苦肉の策だろうけど何か冷たいでしょう。 やっぱり受診抑制と言うのは、患者さんの良識、知識、知恵に基づくものであるべきだと思う。 ま、話が長くなりましたが、そういう訳で夜6時以降や土曜日午後の受診は少し診察料が高くなると言うことをおみしりおきを・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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