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カテゴリ:オレにも言わせろ!
今日はちょっとまじめな話を。
うちは最近漢方内科を標榜するぐらいなので、県内の医療機関でもかなり漢方薬を使っている病院だと思う。 主には煎じではなくツムラを初めとするエキス剤というヤツだけど。 配偶者は東洋医学会にも入っていて、認定医になるべく淡路の病院に週に1回研修に行く一方、ツムラの講演会の演者になって県外まで(高松とか高知だけど)に行ったりしている。 漢方は中国ウン千年の経験に基づいた学問で、それを更に日本流にアレンジしたのが日本漢方。 まあ現在漢方をやってる先生たちは、中医学そのまま漢方をやってる人と、日本漢方(和漢と言う)の人たち、そのハイブリッドみたいな人たちに別れる。 そういう経験に基づいた学問だけに、今はやりの科学的根拠とかエビデンスと言うのものにはちょっと弱い傾向がある。 もちろん、学会も頑張って、認知症に対する抑肝散や釣藤散、機能性胃腸症に対する六君子湯、術後の腸閉塞予防に対する大建中湯などかなりエビデンスを出している製剤もある。 しかしまあ、漢方の得意とするのは、西洋薬が苦手とする機能的疾患(つまり血液検査や画像診断でも異常が無い病気)であるから、エビデンスと言う目に見えたものを出しにくいのも事実である。 んな事言っても、効果は明かで、毎晩寝て居る最中に足がつって目が覚めていた人が、芍薬甘草湯を1袋寝る前に飲むだけで足がつらなくなるし、のどに何か詰まっていると思って耳鼻科へ行っても胃のカメラをしても何もありませんと言われていた人が、半夏厚朴湯を飲めばよくなったり、今はやりのインフルエンザに対してはタミフルを飲むのと、麻黄湯を飲むのと比べると解熱までの時間は差がなかったとか、特に補剤と言う補う薬は血を補い、水分を補い、気を補う。攻撃ばかりする西洋薬に対して漢方は攻撃と、守りの両方出来る薬なのである。 で、ここからが本題だ。 現在毎日のように新聞紙上を賑わしているあの仕分け作業に漢方エキス剤が遡上に上っているらしい。 曰く、エビデンスが無い。曰く薬局でも買える薬に税金を支払うのはけしからん。 仕分け人と言うのは全くの医学の素人で、鼻から削ってなんぼと言う姿勢で臨んでいるので、かなり漢方エキス剤は危ない立場に居るらしい。 漢方薬と同時にやり玉にあがっているのがシップとビタミン剤らしい。 ビタミン剤に関しては、僕もどうでも良いかなと思うが、必要な人は自費で買えと言われるとシップと漢方薬は困るでしょう。 確かに、漢方薬は薬局でも売られている。でも種類は限られているし、買った人はわかると思うけど、値段がかなり高い。それに漢方に限って言わせて貰えば、患者さんが症状だけ考えて漢方を買ってもダメなのだ。 西洋薬と違って、この症状ならこの薬と言う関係が成り立たないことも多い。 例えば、風邪にしても同じ症状でもこの人は葛根湯、この人なら桂枝湯と言う感じで薬の処方が違ってくるのだ。 だから自分で薬局で買った薬は効きにくい事が多いのだ。 漢方薬が保険から外されると、患者さんは薬局で買うか、病院で自費で買わないといけなくなる。 病院で自費で買うと、混合診療はダメだから、診察料も全部自費になってしまうのだ。 ことは漢方だけの問題ではない。 薬局で買える薬となると・・風邪薬、鎮痛剤、整腸剤などいろんな薬がこれをきっかけにやり玉に挙がってくる事が予想される。こうなると保険診療の崩壊の危機に繋がってくる。 仕分け人は削るのに忙しくてそんな事を考えている暇が無いと言うか、そういうことを考える背景さえ持ち合わせて居ないのだ。 この仕分け作業から日本医師会は全く外されてしまっている。 これは恐らく、与党自民党の肩を持っていた医師会への意趣返しだと言われているが、まあそんな事はどうでも良い。 医療のような特殊な分野を、専門知識を持つ人をのぞいた集団で勝手にばんばん切り崩して良いのかと言う事だ。 話が広がっていった。 漢方薬に話を戻そう。 東洋医学会では、これに対応すべく、会員に対して患者さんから反対の署名を取ると言う行動を起こした。 しかし東洋医学会の会員よりも、会員じゃなくて漢方を使っている人たちの方が圧倒的に多いのだ。 だから当院でも患者さんから署名をいただく事を今日から始めている。 しかし時間は無い、 仕分け作業は12月7日にも行われるらしい。それまでにどのくらいの署名を集められるか。 県の医師会や、産婦人科医会、内科医会の動きを待つヒマはない。 そういう訳で是非このブログを読んでいる皆さんにも、是非漢方薬を保険診療から除こうとする仕分けに反対の署名をお願いしたく今日の日記を書いたのである。 幸い、東洋医学会は電子署名が出来るように様式を作ってある。 僕の回りくどい文章がよくわからないと言う人は、是非寺沢先生のこの文章を読んで、賛同をいただける方は是非電子署名をしていただきたい。 漢方薬の保険外しに断固反対のお願い お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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