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カテゴリ:豊田勇造さん
しばらく雨模様の天気が続いていたと思う。
そして当日はさわやかに晴れ上がっていた(梅雨の晴れ間を五月晴れと言うらしい)。 青空に円山の木々の緑が映える。 その青空をバックに勇造さんの顔がアップになる。 舞台化粧なんてしていない。シミだってあるし。 でも、顔に刻まれたシワひとつとっても、生きて来た60年が刻まれている。 殆ど白髪の無い豊かな髪が風に揺れる。 そして緊張するでもなく、弛緩するでも無く、本当に素敵な笑顔を見せる。 この映像だけでノックアウトである。 誤解しないで欲しい。僕がファンだからではない。 初めてこのDVDで勇造さんを見た人も、この勇造さんの顔でノックアウトされると思う。 何も説明が要らない。ああ、この人はすばらしい人生を生きている、こんな風に生きて行けたら。 いきなり、脈絡もなくそう思ってしまう顔なのだ。 そして静かに静かにライブは始まる。 始まりの歌は「海のはじまり」。 静かなフィンガーピッキングだ。 カメラワークがすばらしい。 勇造さんのアップ。ギターを弾く手元のアップ。 ステージの遠景、客席の様子。 決してめぐるましい感じでなく、効果的に画面が切り替わっている。 3曲目「背中」のところでいきなり自分の画像が出て来てびっくり。 赤いTシャツに白いタオルを首に巻き、迷彩のハットを被ってるのが僕です。 自分で思わず「太~~~」と言ってしまう。 自分には赤が似合わないなと再認識。 ここに集まった人たちは、決してライブがタダだからやって来たのではない。 たとえ入場料が1万円でもやってきたろう。 事実、多くの人がライブの為の寄付をしている。 その上で、近くは京都、関西から。 遠くは、北海道から、沖縄から、クアラルンプールから勇造さんの60歳を祝いにやってきたのである。 みんな勇造さんが大好き、そしてそういう人に囲まれて勇造さんも幸せそうだ。 そんな雰囲気を見事にこのライブは切り取っている。 そんな音楽のライブ映像はあるようで無いものだ。 過去には、蔵さんとKUROちゃんの追悼ライブがそんな感じですばらしかったけど、あれは追悼ライブなので それなりにどこかシンミリした気分があった。 でも、このライブはお祝いだ。勇造さんが35年歌い続けてこれたお礼にとファンの為に企画し、ファンのみんなは勇造さんが歌い続けてくれた事にありがとうを言いにここにやってきた。 空は青空、周りには円山公園の緑の木々。そしてステージのバックにはいつもの勇造さんの旗。 そして客席の一番後ろには、これまたステージの旗を作った人が、この日のライブの為に作って来た大きな旗。 そして会場を埋め尽くした観客が、あちこちでダンスを踊り、肩を組み、ステージへ向かって泣きながら手を伸ばす。 みんなのベクトルは一つ。 収録曲は、出来るだけCDと重複しないようにと言う配慮が見られる。 とはいえ、終盤の「ペシャワール」、「ジェフベック」、「大文字」、そしてアンコールの2曲は外せない。 夕日が落ち始め、ピアノを弾く勇造さんの頬が赤く染まる頃、ライブは終焉を迎える。 ラストの曲は、この日の最初に歌った「海のはじまり」。今度は激しいロックバージョンだ。 60曲の中に同じこの曲を2回入れた事に勇造さんの気持ちが読み取れる。 いつだって、今日だって海のはじまりなんだよと。 エンドロールで画像無し、歌無しで流れる「ギブソンJ200」のギター。 まるでウッドストックのDVDみたいでかっこいい。 さて、このステージで勇造さんは70歳、7時間70曲を約束した。 「嘘つきはシンガーソングライターの始まり」とも言ったが(笑)。 でも、今年61歳でフジロックに出演が決まった勇造さんを見ていると、あながち簡単にその日が来そうな気がする。 あと10年頑張ろうと思う自分が居る。 1年前に言った言葉をもう一度。 ありがとう、おおきに勇造さん。 この素晴らしいDVDがたったの3300円でっせ。 東芝EMIのCDなんぞ、未だに2800もするって言うのに。 騙されたと思って、買ってみてください。 そして勇造さんの笑顔にノックアウトされてみてください。 そうしたら、あなたも既に勇造ファンになっています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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