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彼が我が家にやってきたのはいつだったろう?この楽天日記で検索してもはっきりしないが、確か5年ほど前の台風の翌日だった。家の深さ10cm、幅10cm程度の側溝に流されて来ていたのだった。
それからあしかけ5年あまり。彼はずっとホームセンターで買った白い衣装箱の中に入れられ、その白い壁を見ながら生活をしていた。子ども達が幼かった頃は、外に出して散歩と称して連れ出されたり、コオロギを入れてもらったり、刺身のとこりを入れてもらったり、色々と楽しい事もあったと思うが、最近はもっぱら僕がドライの餌を入れて世話するだけで、家族の誰からも見向きもされなくなっていた。 毎日白い壁を見て暮らすと言うのはどんな気持ちなんだろう? たまに台風の後なんか、衣装ケースの中が雨水でいっぱいになり、それに乗じて外へ出て行っている時もあった。 まるで「ショーシャンクの空なあ」と思っていた。 去年あたりから考えていた。彼を自然に戻そうと。 飼った野生動物を自然に戻すのは良くないと言われるが、かといってこのまま衣装ケースで一生を終えるのもなんだし、終えたら良いけど、長生きして大きくなって結局持て余すだろうから、早い方が良いなと思っていた。 場所に関して色々と考えた結果、市内の中心部にある小学校の周囲にある小さな水路に放すことにした。 こんなところだ。 幅1m程度の細い水路だが、わき水で出来ているみたいで、水はいつも豊富に流れて、子ども達や近所の人たちがはなしたと見られる金魚や鯉が泳いでいる。中には30cmぐらいのでかい奴も居る。 こんなのが居るぐらいだから、環境は良いのだろうと考えた。 そして少し水路が膨れて、真ん中に島がある池のようになっている部分もあり、ここでは何度か彼の数倍もあるような亀も見かけた。だから亀も暮らして行けるのだ。 それにここなら、範囲が限られているので、また彼に会いたくなれば会えるかも知れない。 そんな感傷的な気分もあった。 その日は先日の日曜日。 配偶者と一緒に小さなバケツに入れて出かける。 家の前で最後の記念撮影。 暑いので、なかなか顔を出してくれないのよね。 水を入れてやると安心したのか顔を出した。 小学校の正門前に着き、池の中の島の部分へそっと彼を放り投げる。 運悪く仰向けになってしまったが、あっという間に起き上がり、迷う事無くポチャンと水の中へ入った。 ずっとそれを目で追う僕ら夫婦。 石垣の、ちょっと窪んだところに自分の居場所を見つけたようだ。 しばらく水路の周辺を配偶者と散策。 細い水路のところに、彼の3倍ぐらいある大きな赤ミミ亀を見つける。それも2匹。 この亀達はつがいで捨てられたのかも知れないな。 うちの子をよろしく。 一人前の亀にしてあげて・・思わず手を合わせる二人。 そんな風に別れは比較的あっさりと、しかし少しセンチになるような別れだった。 元気でやるんだぞ、亀吉。 いつまでも元気でな~~~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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