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カテゴリ:豊田勇造さん
勇造さんの歌を初めて聴いた人は、不思議な気持ちになると言う。
こんな歌を今までに聞いた事がないと言うのだ。 スタイルとしては、生ギターを持ちハモニカを首からぶら下げるボブディランスタイル。 こんなスタイルは70年代には数えきれないほど居た。 でも、刻むビートはロックでありブルースでありレゲエであり、アジアであり、色んな勇造さんが生きて来た上で獲得したリズムが極上にブレンドされたリズム。 一緒にギターを弾いても、絶対に同じリズムで弾けないのだ。 そして歌の中身も、そのへんのいわゆるカレッジフォークじゃないし、ワークソングでも無い。一つの言葉でくくれない、 勇造さんの歌としか言えないのだ。それは彼が生きて旅して歌った、その中で感じた喜び、悲しみ、苦しみ、怒りをそのまま素直に歌っているからで、誰にでも共通の思い出のような歌ではない。 それなのに、その特殊な状況が広がりを持って他人の胸に迫って行く。 名曲「大文字」は、70年代の後半、京都の大文字送り火の日に、野外コンサートに出演した勇造さんが、大文字の送り火をバックに歌い、タダノリの聴衆から石を投げられたり、空き缶を投げられたりしてやじられた時の歌である。 それでも、「さあ、もういっぺん火の消える前に」と言うリフレインを作り、この歌が出来たから、ずっと歌を続けて行けるかなあと思った歌である。 そんな事を知らなくても、聴衆はそのリフレイン「さあ、もういっぺん」の中に、自分自身を重ねて歌うのだ。 そういう歌って力があるでしょ。 毎年彼のライブでは、ラブソングを1曲歌ってもらう。 彼のラブソングは、「長崎帰り」のリフレインのように「好きな女の胸で休みたい、それも出来んのなら、世界なんか死ね!」と言うような熱いものもあるが、「桜吹雪」や「チェンマイの月」のように淡々と抑制が効いて美しい曲もある。僕の好きなのは「センシミーナ」のサビの部分「今夜世界が終わるかも知れない、そんな焦りがあるけど、今はもう胸に抱かれ、長い息をする」このリフレインである。 今年歌ってもらったのは「アイ・リメンバー・ユー」。 この歌は、北海道を旅した時に出来たと言う。 一度会っただけの人への思いを歌った抑制の利いたラブソングだ。 アルバムでは、割とあっさりと歌っているが、今回のライブでは序盤と終盤に濃密なギターソロが入る。 こうやって静かな歌でも熱くもりあげるのが勇造さんのライブの凄い所だ。 ただ、ちょっと最後歌詞を間違ってるのはご愛嬌。 どこが間違ってるか探してください。 ♪零下17度の外気の中で ♪シャボン玉吹くとすぐに壊れ ♪細かい氷の結晶になって 光りながら落ちるのよ ♪そんな話も美しかったし 話すあなたも美しかった ♪今は離れた夜にいて アイ・リメンバー・ユー ♪喫茶店の中庭で 朝の珈琲飲んだ ♪貴方は少し生い立ちを話 ブルーズに救われたと言った ♪足下には花が咲いてて 花の名前を教えてくれた ♪めしべを慕うおしべのように アイ・リメンバー・ユー ♪駅への道を急ぎながら フランスパン渡してくれた ♪帰る約束が無かったら 残りの切符を捨てたかった ♪無事を祈る燈台のように 黙って見送る姿が見えた ♪星を渡る渡り鳥のように アイ・リメンバー・ユー ♪たった1回聴いただけで 忘れられない話もある ♪たった1回会っただけで 忘られない人もいる ♪いつか真冬の北海道で シャボン玉吹いてみたい ♪その日が来るまでこの歌で アイ・リメンバー・ユー ♪いつか真冬の北海道で シャボン玉吹いてみたい ♪その日が来るまでこの歌で アイ・リメンバー・ユー 豊田勇造 アイ・リメンバー・ユー2011 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.19 22:51:25
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