真夏の夜の妖精~蝉の脱皮(羽化)
小学生の夏休み、市内にある眉山の麓の山道を歩いていて、どっかのおじさんがしゃがんで何かをじっと見てるのに出くわした。おっちゃん、何見てるの~と言いながらその視線の先を追うと、そこには今にも脱皮しようとしているセミの幼虫が居た。茶色の殻の中から、真っ白な妖精が少しずつ身体を現して、最初は濡れてしぼんでいた真っ白い羽が段々とピンと伸びて行き、妖精が大人になっていくその過程を固唾をのんで見守っていた。気がつくとあたりは真っ暗な夕暮れ。親に怒られると急いで走りながら家路を急ぐ。そして夕食の時に興奮しながらその感動を親に伝えたのだった。あの頃から40年近く経ったけど、その時の感動は未だに忘れていない。子供たちにも見せてやりたいなあと思い、近所に住む叔母さんの家にセミが多くて抜け殻の多い事に目を付けて探しに行ったのが一昨年の事。1匹どころか、沢山の羽化の場面を見ることが出来て、配偶者や上の2人の子供達も口を開けてじ~っと見とれたものだ。昨年は時期が遅すぎたのかスカで1匹しか見れなかった。今年は、満を持して金曜の夜に出発。今回は時期も良かったのか、一昨年にもまして沢山の羽化を見ることが出来た。でも、感動と言うのは長続きしないのだろうか?配偶者も子供達も一昨年ほどの感動は無かったみたいだ。(見つける事には夢中になったけど、その後じっと観察することはしなかった)。カズも蝉、蝉と騒いでいて、翌日の朝は蝉を捕るとまだ親が寝ている間から一人で出て行ったけど、自分が観たものが何かわかっていたのかどうかはちと疑問である。僕自身は子供の頃から、何度見てもあの場面は感動して飽きないんだけどなあ。さて、これを記録に残すことは難しい。一昨年の写真は左ページの「蝉の脱皮」と言うページに収めているのでごらんあれ。あたりは暗いので、フラッシュ撮影になるけど、あまりもろにフラッシュが当たると、白い身体に光が反射してしまって上手く撮れないのだ。懐中電灯で光を当てながらフラッシュを炊くと言うのが良いような気がするがそれでもこれだけの写真を撮るのに、何枚スカの写真を撮った事やら。今回は、デジカメとデジタルビデオを持って行った。最近のDVはデジカメとしても使えるし、そっちの方が画素数も大きく美しい写真が撮れるからだ。しかしこのDV、恐らく僕の使い方が悪いのだと思うが、オート撮影で撮ると真っ暗なのにフラッシュが光らないのだ。と、言ってもオート以外で撮影したことが無いので後の使い方はわからない。仕方ないからいつも通りデジカメ(キャノンのIXYの古いタイプ)で撮影していたけれど、ふと思いついてデジカメのナイトショットを使ってみた。これは赤外線を使って暗いところで写真を撮る機能だ。そしたら・・怪我の功名か・・・最後に載せた写真のような素晴らしい写真が撮れたのだ。元々が白っぽい対象なので、いっそ白黒の方が美しさをより際だたせるかも知れない。これは後で考えた事だが、対象はその場所を移動する事がないので、次回は三脚でDVを固定して、ずっとナイトショットのビデオモードで撮影してみよう。そうすれば、好きな場面の静止画を取り出すことも可能だし、早回しにしてDVDを焼いたら退屈しない動画になるし、その間蚊に足を刺されないで済む。今年中にもう一度そのやり方で挑戦してみるつもりである。皆さんも探してみて欲しい。簡単である。昼間に沢山抜け殻がある木に目を付けておいて、夜にその木を見に行くだけである。時期的には、梅雨が終わって蝉が一斉に鳴き出すこんな時期が最高だと思う。お盆を過ぎると何だか減るように思うし、雨が降りそうな天気の時などは蝉も出てこないと思う。時間帯もそんなに遅い時間じゃなくても良いのだ。7~9時頃が一番沢山見えるんじゃないだろうか?大人の膝から胸ぐらいまでの低いところに多い。懐中電灯と虫除けスプレーは持って行った方が良い。見つけても決して触ったり持って帰ろうとしたりしないでほしい。触って下に落ちてしまえばそれで死んでしまう。これは最高に厳粛な命の誕生の瞬間なのだ。前置きが長くなったけど、それでは今年の真夏の妖精を見て欲しい。白黒の写真以外は全部デジカメの撮影だ。(上手い写真の撮り方をご存じの人が居たら教えて欲しい)殻から半分ぐらい出てきたところもう少し時間の進んだところ(同じ個体ではありません、別の木です)このあたりになると、成虫らしくなります(これも別の個体)これはナイトショットで撮影したものこれは本当に偶然の産物。あまり言葉は要らないですね。