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サイゴンから来た妻

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2010.01.16
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カテゴリ:思ったこと
ベトナムやフィリピンなどの現地生活(特に貧困層)を、視察なり調査なりでちょっと体験した人間の良く使うセリフがあります。

「そこには日本では失われた笑顔や目の輝きがあった。家族や他人とのつながりがあった。
日本に比べて物質的には恵まれていないが、日本人よりよほど幸せなのではないか・・・」

こういう上から目線の偉そうな言葉を聞くと、だったら自分でそういう生活をしてみたらどうだと思ってしまいます。もちろん元の生活へ戻れるという退路を断ってからです。

テレビも無い、車も無い、PCも無い、下手をすると電気そのものが無い生活。
食べるだけで精一杯の生活。
家族や他人との密接なつながりは、貧乏なゆえにお互いにぶら下がり、ぶら下がられるため。
皆明るく生きているようでも、実は日々の生活に精一杯で、心のゆとりも無い。

ほとんどの日本人は、すぐに音を上げることでしょう。

貧乏旅行自慢バックパッカーにしたって、いざとなったら日本に帰れるという心理があるので、安宿貧乏生活を楽しめるのだろうと思います。
いくら格差社会になったと言われる日本でも、本物の路上生活者以外はそれなりに物質社会の中で生活しているわけですから。

貧乏でも明るい生活というのは一見幸せそうに思えますが、そのような環境の人たちはどのように思っているのでしょうか。
もし、現在貧乏な生活をしている現地の人に質問したとしたら、ほとんどの人が清く明るく貧しい生活よりも、物に囲まれた生活を選ぶのでは無いでしょうか。

私がベトナムやフィリピンで見てきた限りでは、皆さん、文明の利器が大好きです。
お金が入るとすぐ新しい携帯電話などに化けてしまいます。

それどころか、貧困層が何かのきっかけでお金を持つようになると、これまで抑えられてきた物欲が開放されて、見境無く買い物をする例もあります。

まあ私自身にしたって、社会人になってちょっと自由になるお金が増えたとたん、色々なものを衝動買いしたりしました。
結婚した今となっては、自由になるお金が減って我慢できるようになりましたが、これは仕方なくです。

妻はその点、よく物欲に支配されなかったなとちょっと感心しています。
はじめのうちはパソコンやオーディオプレイヤーなどをちょっと買いましたが(これも決して妻だけのものでも無いですし)、今では何も買おうとしません。誕生日プレゼントの指輪くらいでしょうか(高いものではないですが)。

ただし、家の中の小物をちょこちょこ買う癖は続いていて、なかなか直りません。

というわけで、相対的に恵まれた環境にいる人間が、貧困生活を見て幸せそうだ等と言うのは傲慢だなと思った次第です。

ちなみに物質社会が全て良いと言いたいわけではありません。
確かに他人との関係が希薄になったり、浪費による資源の無駄遣い、環境の破壊などの問題もあるのでしょう。

ただしそれらについては、今日の日記のテーマとは別な問題であるという認識です。

あれ、何だか私の日記も偉そうになってしまいました。





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Last updated  2010.01.16 17:53:28
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