夕方お隣さんと立ち話していたら
眉山の山の方から
パチパチ、バチバチと激しい音が。
また火事なのかもとお隣さんと恐る恐る
東の山裾のあたりに行ってみた。
するとパシッと何かが飛んできてあたった。
足元にはたくさんの藤の鞘。
そして平たい小さな実が落ちていた。
藤の実が弾けると
こんな激しい音がするなんてびっくり。
いっせいにあちらからもこちらからも
それぞれが反応するように音がする。
2、30メートル離れたところまで飛んできていた。
ネットで調べてみたら
😊
こんなエッセイ見つけた
藤の実
寺田寅彦
昭和七年十二月十三日の夕方帰宅して、居間の机の前へすわると同時に、ぴしりという音がして何か座右の障子にぶつかったものがある。子供がいたずらに小石でも投げたかと思ったが、そうではなくて、それは庭の藤棚の藤豆がはねてその実の一つが飛んで来たのであった。宅のものの話によると、きょうの午後一時過ぎから四時過ぎごろまでの間に頻繁にはじけ、それが庭の藤も台所の前のも両方申し合わせたように盛んにはじけたということであった。台所のほうのは、一間ぐらいを隔てた障子のガラスに衝突する音がなかなかはげしくて、今にもガラスが割れるかと思ったそうである。自分の帰宅早々経験したものは、その日の爆発の最後のものであったらしい。
この日に限って、こうまで目立ってたくさんにいっせいにはじけたというのは、数日来の晴天でいいかげん乾燥していたのが、この日さらに特別な好晴で湿度の低下したために、多数の実がほぼ一様な極限の乾燥度に達したためであろうと思われた。
それにしても、これほど猛烈な勢いで豆を飛ばせるというのは驚くべきことである。書斎の軒の藤棚から居室の障子までは最短距離にしても五間はある。それで、地上三メートルの高さから水平に発射されたとして十メートルの距離において地上一メートルの点で障子に衝突したとすれば、空気の抵抗を除外しても、少なくも毎秒十メートル以上の初速をもって発射されたとしなければ勘定が合わない。あの一見枯死しているような豆のさやの中に、それほどの大きな原動力が潜んでいようとはちょっと予想しないことであった。この一夕の偶然の観察が動機となってだんだんこの藤豆のはじける機巧を研究してみると、実に驚くべき事実が続々と発見されるのである。しかしこれらの事実については他日適当な機会に適当な場所で報告したいと思う。
昨日山から藤の実をとってきて家の中に吊るしてみた。
夜うたた寝していたらピシッという激しい音で目が覚めた。種が弾けて飛んでいた。
面白い。
今度はどの種かな。
自然界の藤はどのタイミングで(潮時で)
一番効率良く種を遠くに飛ばせるか、湿度や気温、風まで感じて種を弾かせている。と思う。
植物の生命力は素晴らしい。
温暖化や気候変動、地震津波、この先
何が起こるかわからないが
植物だけは生き残る気がする。