うちの大学は秋入学もあるので、当然秋に卒業式もあります。
それがこの間の金曜日でした。

出来のいい学部生たちがごっそり卒業していった・・・
寂しいけど、いつまでも居座られても困るので（笑）、めでたいことだとお祝いを伝えに行ってきました。
私が着任以来ずっと私のクラスを取り続けていた学生たちでもあります。
顔も名前も成績すらも覚えてる（笑）。
だから彼らが巣立つということは、さみしい事ですけど嬉しいですね。
あれだけ大変だった広告の授業もしっかりついてきた面子ですから
どこへ出しても恥ずかしくないと思っています。

そしてもう一人、頑張り屋さんの院生Sちゃんが卒業。
七転八倒しながらプロジェクトを仕上げて、ただいま就活中。
研究内容のクオリティ云々については、まだまだなところがたくさんあります。
でもうちのプログラムでなんとかここまでやったというのは褒めてあげるべきだと思っています。
ただ、やっぱりアメリカのプログラムを出た学生たちには負けるけどね・・・
リソースの面でもコースワークの面でも劣っているのは仕方ないし
私一人が教えられること、それも1年弱という期間でできることは限られていました。
でもその難しい中でなんとかものを仕上げてきたという努力はすごい。
それがあれば大概のことは乗り越えられます。おめでとう。
就職活動もいろいろ話があって、心配しないでも収まるところに納まると思っています。

そんな未来が楽しみな学生たちもたくさんいる反面
残念な学生もいるわけですよ。
日本をなめていたうちの院生たち。
2，3人卒業していきましたが
就職口も見つからず、帰国だって。

もともと母国での就職を希望していた学生はいいのですよ。
ただ、日本に来て、日本語を碌に学ばず
それでも日本に何とか残りたいと思ってたそうですが
その手段も見つからない
仕方ないから帰国ってのが一番残念だわね。

そりゃそうだろう、院生ラウンジで「日本は日本語できなくても全然困らない」と胡坐をかいていたんだからね。
で、就職活動に出ると「日本は日本語できないと雇ってくれない」
当たり前やろうが・・・
そんな学生には先生たちも就職口をあっせんなんてしないしね。
さっさと帰りなさい。
かえって就活するほうがいい。
2年間、バケーションをエンジョイしたんだからさ。
その2年、せめて日本語真面目にやってりゃ残れたかもしれないのにね。あとの祭りです。

2年しかない修士課程で何をやってきたかで、これだけ明暗が出るとは思わなかった。
結局日本で留学生、それも大学院生が就職するには
語学力がいる。そしてそれはアジア系の留学生が強い。
中国人とか韓国人とかは結構あっさり就職決めてくるんですよ。
日本語さえきちんとできれば。
ただし、欧米系はそうはいかない。
もうひと押し、できれば教授の紹介なりなんなりがないとしんどい。
中には自分で仕事を取ってくる奴もいますけど、圧倒的に少ない。
そうじゃなきゃ彼らに日本で残る仕事はたいがいが「英会話学校の先生」となる。

で、欧米系を抱えるワタクシとしては頭が痛いわけです。
何もやらない、態度に問題のあるやつは結果として私の研究室から出ていきましたけど
それでも数人残ってる。
これがみんな日本での就職希望となると、マジで頭が痛いです。
私のコネ、ないわけじゃないけれど
使うとすればそりゃ考えますよ・・・

大学、大学院にいる間は守られてますし
多少日本語のできる外国人留学生に日本の人々は優しいですから。
これが手のひら返したようになるのが就活の時。
日本語検定等で門前払いにしていきます。足きりにしていくってこと。
でも、せめてあれぐらい（日本語検定1級）の日本語力がなきゃ
いくら外資でも仕事をするというのは大変だと思います。

そしてこれはワタクシの学部での教え子Dくんとも話していたのですが
「マーケティングは言葉ができないと難しい」
その通り。モノやサービスの価値を市場や消費者に伝えるのが仕事ですので
かなりの語学力が必要になります。
日本語検定1級では足りないぐらい。
だから余計にハードルが高い。

そして外資の代理店等で働いている人々に聞いても
「そうね、10人外国人がいたとして本当に仕事レベルで通用するぐらい日本語がうまいのは１人いるかいないかだわね」ってところらしい。
そうなると、当然うちのプログラムにいる舐めた欧米系の院生では難しい。
私も推薦を躊躇します。

だから、私はできるだけ自分の院生たちには、
まず母国での就職を考えること
それから日本語をできるだけ仕上げること
就職活動中に絶対聞かれるからきちんと研究すること
統計等、まじめにやること。これができるとできないとで仕事の幅が変わってくるので。
日本で就活するなら日本でのビジネススキルを今から磨くこと
そういうことを、口うるさく指導しています。
だって先生が就活するわけにはいかんのだからさ。


今回卒業していった残念な院生は私の指導している院生ではありません。
放任主義の同僚の学生ですが、彼女だってできる学生にはそれなりにインターンシップ等をあっせんしています。
それにもひっかからなかった学生ということです。
そりゃ仕事なんてあるわけない。
自業自得だ。

たかが２年、されど２年。
大学生なら４年。
この間にいったい自分で何をやるのか、将来のためにどんな準備をするのか
それを考えて実行していった学生としなかった学生の差が
こういう喜びの日に見えるわけですね。
やっぱり見る人は見てるってことよ。

私は自分が目をかけた学生にはあんなLoserになることを許しませんから。
おしりをけっ飛ばして日本語学習と研究に励ませます。
頑張るのだよ、Loserになりたくなければ。