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カテゴリ:日々。
以下幕内秀夫さんのブログより転載させて頂きます。
私は、この30年間にたくさんの先生方から学ばせていただきました。それは、決して食生活だけではありません。ちなみに、書籍で言えば、「食」に関するものは、10パーセントもないと思います。いや、食生活に関するものは、めったに読まないと言ったほうが正しいでしょうか? 食生活そのものに関して、もっとも学ばせていただいたのは、まちがいなく島田彰夫先生です。ご存知のように、亡くなられてしまいました。先生が最後に書かれたのが、『伝統食の復権』(東洋経済新報社)です。本書は、その後、絶版になっていました。今回、それが「新版」として不知火書房さんから発行されることになりました。役不足と知りつつも、前文(推薦文)を書かせていただきました。 -当たり前の「大切さ」を教えてくれた島田彰夫先生- アメリカでベストセラーになった、『医食同源』(角川書店)の著者、アリゾナ医科大学のアンドルー・ワイル博士は、その著書の中で次のように述べている。 ―つい最近まで、日本人は世界でいちばん健康と長寿にめぐまれた人たちだった。ところがいま、その栄誉が失われはじめている。おもな原因は食習慣の変化である。朝食でいえば、ごはんに味噌汁、漬物、魚の干物、漬物、緑茶といった伝統的な食事をとる人が激減し、バターつきのトーストにベーコン、たまご、コーヒーなどを好む人が急増している― 戦後、私たち日本人の食生活は世界に類をみないほどの急激な変化をしてきた。そこにはさまざまな要因があるが、もっとも影響が大きいのは昭和三十年代から、進められてきた、栄養改善普及運動である。栄養改善普及運動とは、欧米の食生活を理想とするものだった。その理論的な「柱」になってきたのが、大学、短期大学、専門学校なので教えられてきた栄養教育である。 その結果、平成二十年、米の生産量は880万トンにも減少する。同年、輸入された穀物は、トウモロコシ1600万トン、小麦は500万トン、大豆は370万トンにもなる。トウモロコシは家畜の飼料や清涼飲料水などに使われる異性化糖、小麦はパンや麺類、菓子類。大豆は植物油や、味噌、醤油として使用されるようになっている。まさに、欧米型の食生活を推進させてきた、栄養教育の成果が数字に表れているということができるだろう。栄養教育は、私たち日本人を米食民族から、トウモロコシ民族に変えてしまったのである。それにも拘わらず、今でも栄養学者や栄養士は、言語明瞭、意味不明の「バランス論」を唱え続けているだけである。 さすがに、これまでの栄養教育とはなんだったのか?疑問を持つ、医療関係者、農業関係者、教育者、消費者、栄養士などが増えている。私自身も、三十年前に疑問を持ち、これまでの栄養教育に見切りをつけた1人である。 では、私たちは何を頼りにして食生活を考えていけばいいのだろうか。私自身がそうであったように、多くの人が栄養教育以外の民間食養法の考え方に接することになる。だが、民間食養法の世界は、極めて情報が混乱している。玉石混交の世界といってもいいほど、様々な説が飛び交っているのが現状だ。現在でも、マクロバイオテイック、生菜食、インスリンダイエット、低炭水化物ダイエット、ロウ・フード、ナチュラルハイジーン、薬膳など、どれほどあるか見当もつかないほどの主張が繰り返し登場している。 私自身、それらの情報に接し、非常に悩んだことを覚えている。民間食養法の世界は極めて「経験主義的」なものが多い。ある特殊な食生活で病気が良くなった人が指導者になって、それを紹介する例がほとんどだ。だがゆえに、客観性がなく、教条主義的なものが目立つことに非常に違和感があった。 そんなときに出会ったのが島田先生の書かれた本だった。経験主義が多い中で、あくまでも「学問」として、客観的な目で食生活を考える姿勢に共感を覚えたものである。島田先生が、たくさんの書籍の中で、私たちに教えてくれたこと。それは、日本には日本の風土から生まれた伝統食があり、その「知恵」があるではないか。それを、食生活を考える際の「基本」にしなければならないということだと思っている。考えてみれば、当たり前の話だが、私たちはそれを忘れていたのである。それを気付かせてくれたのが島田先生だった。 それを、よりわかりやすく、読みやすくまとめたのが本書である。島田先生の集大成と呼ぶべき、素晴らしい本である。残念ながら、本書が島田先生の最後の著書になってしまった。先生が亡くなられて、しばらくたって本書は絶版になっていた。非常にもったいない。もっと多くの方に、読んで欲しいと考えていた。 今回、それが再び日の目をみるようになったことは本当にうれしい。出版の英断をしてくださった、不知火書房さんには心からお礼を述べたい。そして、出版の承諾をしてくださった、島田道子夫人にも感謝を申し上げたい。 2011年1月 幕内秀夫 拙い推薦文ですが、食生活に関して、何か1冊と問われたら、まちがいなく本書を進めるでしょう。宜しかったら、是非、ご一読ください。 ------------------------------------------------------------------------- 巷には様々な情報が溢れていますが。。。 この本にはとても重要なことが書かれていると思うので 早速読んでみようと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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