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カテゴリ:つぶやきたいの
ここ数か月はいつもに増して本を読んだ気がしますが。
中でも・・・面白かった本4冊。 ■百億の星と千億の生命・・・カール・セーガン はるか遠い宇宙や科学のお話から身近に起こる問題や謎へ。 読みやすい本です。 ■時間は実在するか・・・入不二 基義 これも案外読みやすい哲学の本でした。 アタマが悪いので、ぐんぐん読み進めることはできなかったんですけれど。 夜中に蒲団に入ってちびちび読むのにお薦め。 眠れなくなること請け合いですが。 ■猫語の教科書・・・ポール・ギャリコ 以前に、お友達に勧められて買っておいたまま読まずにおいてあったものを引っ張り出しました。 猫が書いた・・・という設定で話が進みます。 30分くらいで読めちゃう本ですが、猫好きにはたまらない本なり。 ■ノラや・・・内田百ケン(ケンは門のなかに月という字) 内田百ケンの文章は、いかにもストレートで気持ちいいので好きです。 作品の印象がオトコマエな作家。(似たようなジャンルの泉鏡花に比べて) 「ノラや」は内田の飼ってた猫の話。 この4冊の中でも、今日は猫さん本2冊について。 長年飼っていた実家のネコが先日死んでしまったので。 なんとなくネコの本を手に取ってしまった私でございますが。 「猫語の教科書」はネコ目線。 「ノラや」はヒト目線・・・の本でございます。 「猫語の教科書」は・・・ある天才的知能を持ったネコが、若い猫、これから人間を懐柔しようとするすべての猫に向けて書いたマニュアル書・・・という設定の本です。 「猫にとって快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」が主題なり。 家に入り込む方法。 美味しいものを毎日ヒトに出させる方法。 ヒトの虚栄心や独占欲をくすぐって、己の地位を確固たるものにするには? 愛ってなに? なかなか小生意気なことを書いているのですけれど。 猫を飼ったことがある人であるならば、みんな「実はそうかもしれない」と思ってしまうほど巧妙でチャーミングな猫の策略。 読みながら「うふふ」と声を出して笑ってしまうこと請け合いでございます。 あの媚ているようでもありつつ・・・ 実はヒトを上から操っているんじゃないか?・・・思わず考えてしまうほど魅惑的な生き物ネコ。 猫に振り回されたい、猫好きなそこのアナタはぜひお読みくださいまし。 そして・・・内田百ケンの「ノラや」。 あまり猫が好きとはいえなかった内田の家に・・・近所の野良ネコが生んだ子猫のうちの1匹がやってきます。 その子猫も「猫語の教科書」を読んでいたかいなかったか。 勝手口で外猫として飼われていたその子は・・・いつのまにか人を懐柔し・・・家の中へと入り込み。 ノラという名前を頂戴し。 (書中で、内田は『イプセンの人形の家のノラは女だが、この猫はオスだけどノラだ。』と何度か書いていてそれが何となしにおかしかった。) 最初は、ヒトのあまりものを与えられていたというのに。 いつのまにかノラのために、魚屋から魚を飼って与えるようになり・・・ ノラがそっぽをむいた魚は人間が天ぷらにして食すなど、いつのまにか立場が逆転。 すっかり内田家の真ん中に座り込む形になるのですけれど。 そのノラがある日突然行方不明になるのでございます。 昨日いたものが今日はいない。 死んでしまったのであれば、まだ悲しみにくれつつ心の整理というものがつきますが。 「帰ってくるか?」「明日は戻ってくるか?」「いまどこでどうしているか?」 そう考えて毎日を過ごすというのは何とも苦しいものでございます。 うちにももう10年ほどまえに、急に行方をくらました猫がおりました。 物音がすれば「帰ってきた?」と庭に駆け出し。 似たねこを見たと言われれば、飛んで行き。 「帰ってくるかもしれない」と思い、窓をすかして寝る始末。 内田もまたそうでございました。 新聞に迷いネコの広告を出してみたり。 新聞折り込みにチラシを入れてみたり。 ラジオで呼びかけてもらったり。 内田は、いなくなったノラを思いすぎてすっかり痩せて体調をも壊してしまう始末。 とにかくその憔悴ぶり、大騒ぎぶりは・・・うちの10年ほど前の騒動とぴったりと一致しまして。 きっとどのお家でも、猫が姿をくらましたとなればそうなってしまうんだろうな・・・と改めて思ってみた次第。 なんだか大の大人が猫一匹に・・・と読んでいて笑ってしまったりもしつつ・・・ しかし、猫と暮らしたことのある人であればその気持ちも大いに解るものでして。 滑稽でもあり悲しくもあり。 いつも寝ていたお気に入りの寝床に向って・・・内田が 「ノラらノラやノラやノラや・・・」と声をかけたりするシーンでは思わずぐっと涙がでてしまいます。 猫に振り回されるヒト。 猫を愛さずにおられないヒト。 その愛は一方通行か? それは愛か執着か? それとも・・・? この2冊。 ぜひ一緒に読んでみてください。 笑って泣いて。 なかなか素敵な本ですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 7, 2009 03:43:02 PM
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