病棟の役割
病棟勤務で3ヶ月経ってようやく入院の意味が判ったように思う。ある疾患が見つかり、医師の診断で入院になる。その疾患は薬物療法が中心であり、ときおり検査結果をみて考慮する。 病棟ナースの役割は、全身状態の観察をすること。体温・脈拍・呼吸・排尿回数・排便回数・食事量と主要症状を聞き取り記録に残す。医師の指示があれば点滴・注射・検査への移送を行う。これだけを行っていれば良いのが病棟看護師の業務である。 楽なものだとおもうのだが、そうはいかない。日勤では10人前後の患者を受け持つ。上記の件を測定し、聞き取るだけで約1時間。ベテランなら40分で済ませる。たとえば点滴。点滴ラインが予め確保されていれば、ルートを接続するだけでよいが、血管を探し針を刺すだけで30分経過なんてざらにある。高齢者が多く血管なんてないのだから。そして看護師の未熟さも要因のひとつ。私のように針先が上を向いているのかいないのか?が見えていない看護師が刺すのだから。 動けない患者は10人中3人前後。この人たちの体交(体位変換)2時間毎に行うが、多くが褥瘡を併発して入院しているため仙骨部に多い。右側へ向けるため枕・小物・バスタオルを駆使しているが、大腿部の拘縮は避けられないし膝も同じ。むなしさを感じながらも行う。3人やれば40分前後経過。 少し余談が過ぎたので、本題へ。 入院してきて、まず高齢者は「場の変化」に対応できず一時的な、認知症に陥る。それは数日で回復するのが一般的。とにかく昼夜逆転です、朝食が食べられない、昼食もウトウト、夕食も同じ。夜はウナル。 そして次に発生するのが、便秘と下痢のくり返し。発熱と嘔吐。脱水。これらが複合的に発生し、病状は悪化し家族から「入院してよけいに悪くなった」といわれ転院。しかしよそでも同じ。やっと家族は気がつき再び入院。 看護師はこの複合症状をいかに予見し、発生を食い止めるか。