自律
曽野綾子さんのエッセイを読んでいて、「ああ、私のテーマは”自律”だ」と直感した。自立ではなく、自律。自分をコントロールする意味でのそれとともに、自立も含む。 狸の幸福 より抜粋「今の老人ホームでも、老人に対する「手厚い」もてなし方というのは、何でも優しく「してあげることだ」という考えがどこかにあるように思えてならない。 しかしこれは、決して老人の側にとっていいことではない。手厚く、優しくすることは、する側にとって都合のいいことなのである。なぜなら、優しくさえしておけば、世間から非難されることはないどころか、むしろいい評判を取る手っ取り早い手段だからだ。 しかし、老人であろうと、生きるためには運命に立ち向かってください、人生は死ぬまで闘いです、などと言うのは実にむずかしいことである。そういうホームは残酷な介護者、優しさがなく、年寄りを虐待しているというふうに、世間は短絡的に受け取るからである。 老人といえども、強く生きなければならない。歯を食い縛っても、、自分のことは自分ですることが原則である。それは別に特に虐待されていることでもなければ、惨めな事でもない。それは人間だれにも与えられた共通の運命である。自分で自分のことをするようにしなさい、と言うのは、当然すぎるほど当然のことであろう。」 なぜこの文章を読んでそう直感したか・・・