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医療と裁判 石川寛俊著 岩波書店 \2,000+tax 医療事故の分類 医療事故には、 第一群;組織医療における連携の隙間を縫って生じる(リスク・マネージメントの本来的対象となる)患者の取り違えや投薬違いなど初歩的ミス(仮に「第一群」とする) 第二群;研鑽不足による判断の間違いである、病名誤診や手術の適応違いなど、医師個人の能力不足から生じる多数の群(「第二群」とする)がある。 第三群;さらに持続出血を放置して就寝した医師の場合や、主治医が回診中だったため帝王切開が遅れて仮死分娩になった場合など、患者家族の診察要請を無視した医師不在の怠慢による医療事故(アメリカでの「患者の安全を著しく軽視した」reckless disregard に当たる)など(「第三群」とする)が訴訟の多くを占めている。 [第一群]は院内の事故防止会議での主要テーマとなるが、 [第二群]は医師の日常的研鑽による能力の向上が必要であり、 [第三群]は能力の向上とともに患者家族の訴えを聞くという、医師の基本的資質に関わる問題である。 昔、とある病院でリスクマネージャーをしていたとき、毎月一回の定例会議が少しずつ負担になり暗中模索よりひどい「ジャングル地帯」で上下、左右すら分らなくなっていたことを思いだす。 何かあれば「ヒヤリハット報告」を提出するように、と通達が出たもんだから各部署から出るは、デルは、それの集計方法を模索しつつ危険度を分類し、上司報告の優先度を・・・・ いったいなぜ? 何が起こったのか? せめて納得を得たい・・・ この言葉に全ての思いが込められている。著者は「ルールがない」と訴えている。「お互いの関係を平等に規律するのがルールであるから、ルールの前では対等であるとの認識がなければそもそもルールは機能しない。」 そして裁判が長期化する原因は「医療が単に専門領域に属するからではなく、また社会的に権威ある職種だからでもない。社会の実体としてルールがあやふやな領域で適用すべきルールが見つからず、新たに作り出さねばならない状況にあるからである。」 リスクマネージャーを担当している方は、是非一読して欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 24, 2006 09:39:09 PM
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