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カテゴリ:自分らしい生き方
最悪 奥田英朗著 抜粋
「そして乾いた破裂音がした。 信次郎の腹部が一瞬にして熱くなる。 痺れが全身を走り、体が動きを止めていた。 熱い部分に手をやる。てのひらを濡らすものがあり、すぐに血だとわかった。 信次郎はエレベーターで急速に下がっていくような感覚を味わう。 薄れゆく意識の中で、なぜか自分は救われたと思った。」 やくざに向かっていき、撃たれて安堵感というか心がすーーっと落ち着くこの気持ちが、私にもわかる。 「冗談やないぞ」 やくざが左手で髪をかきあげた。 「なんでおればっかこんな目に遭わなああかんのや。 たかがチンピラ脅しただけやないか。それがなんで組にケジメ取られて、御殿場くんだりまで追いかけさせられて、おまけに警察に包囲されなあかんのや」 「こんな不幸な男がどこにおる」 登場人物の、皆が「最悪」の人生を歩いている。と自負している。 最後の数ページは、心がふわっと 浮き、くちびるがゆるんでいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 25, 2008 04:00:19 PM
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