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リタイヤ ガーデニング

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July 7, 2008
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カテゴリ:自分らしい生き方

それぞれの山頂物語


それぞれの山頂物語  曽野綾子著 抜粋

≪ ある日、イエスはエルサレムの神殿で、賽銭箱の見える位置に座っていた。
「イエスは賽銭箱の向かいぬ座って、群衆がそれにお金を入れる様子を見ておられた。大勢の金持ちがたくさん入れていた。ところが、一人の貧しいやもめが来て、レプトン銅貨二枚、すなわち一クァドランスを入れた。イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われた。
『はっきり言っておく。この貧しいやもめは、賽銭箱に入れている人の中で、だれよりもたくさん入れた。皆は有り余る中から入れたが、この人は、乏しい中から自分の持っている物をすべて、生活費を全部入れたからである。』(マルコ12.41~43)

 こういう解釈は今の日本では希薄になったように思う。彼、あるいは、彼女なりによくやったという褒め方はせず、立場や境遇とは無関係の実績だけが問題にされるのである。

 「お父さんの月給は決して高くはないけれど、お父さんは誠実によく働いている立派な人よ」とお母さんが子供たちに解説するケースはむしろ少ないような気がする。

 キリスト教の場合、「神は隠れたところにあって、隠れたものを見ている」というはっきりした思想がある。この神殿の献金箱の情景は、まさしく神が目立たない一人のやもめの行動をじっと見ていたことを示している。

 彼女は服装も貧しげで、捧げた金もほんの小銭だった。しかし彼女の生活の中では、そのお金は、ほかの金持ちが献金した額よりもずっと大きな比率を占めていた。尺度は、人一人一人が持っていて当然なのである。

 この話はいつも私の中で、障害者の生活と連動して思い出される。今年も私たちは、障害者と、エジプトのシナイ山へ登ったが、山頂を極めた盲人が数人いたのと比べて、気の毒なのは車椅子の人たちであった。どんなに努力しても、数千段の不規則な石段を登ることはできない。しかし毎年、この旅で、歩く距離を伸ばして帰る人は多いのである。

 三メートルしか歩けなかった人が、百メートル歩いたら、それはエベレストに登ったことと同じかもしれない。

 人にはそれぞれの山頂がある。神はそれを個別に見守る役である。もし神がなかったら、百メートルしか歩けない人は死ぬまで一人前でないことになる。しかし神の評価で見ると、その人は最高の登山者なのだ。≫

 誰かと比べて、自分は損だ、出来ていない、と嘆くことはしょっちゅうある。比べることばかりに夢中になっているが・・・。

 日本には、”やおよろず”の神がいると言われている。

 TVで桑田真澄さんが、子供たちへの助言として「となりの誰かと比べることはやめよう。自分はここまでできた、ここができない。それが大事だ」と言われていた。

 





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Last updated  July 7, 2008 01:21:54 PM
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