コロンビア
私の勘違いでコロンビアの記事がないことに気がつきました。書いたはずなのにおかしいなぁ・・・と思っていたら、大使館をめぐる旅のコロンビア大使館のところでほんのちょっと触れただけだったのですね。というわけで、急遽コロンビアを取り上げよう。豆はカサカサと乾いた感じ。これはですね、口に含んだ時はバランスのいい苦味が先に来るのだけど、飲み込んだ後に酸味がやってくるのですよ。しかしこの酸味というヤツ、私はこれが苦手だったはずなのだが、このコーヒーをめぐる旅を始めてからすっかり好きになってしまいました。いい豆に出会うとこうまでも変わるものなのだなぁ。何も知らずにひたすらマンデリンだけを愛する生活も良かったけれど、世界にはもっといろいろなものがあるということを知った喜びも大きいぞ。ますますごめんね、マンデリン。***先日何とはなしにテレビを見ていたところ、経済ニュースで日本の最近のコーヒー事情について取り上げていました。我が国において2000年に比べるとほぼ倍に増えたカフェ(セルフサービス式のチェーン店)についてと、それを危惧したコーヒーを扱う大手食品メーカーが「家飲み派」を増やそうと日本市場を開拓すべく試みようとしているものでしたが、これがなかなか面白かったのです。その「家飲み派」を増やそうとするのはスイスに本社を置く「違いのわかる男」を代々輩出してきたインスタントコーヒーで有名な会社。ここでは仮に「ネス湖のコーヒー社」とでもしておきましょう。その「ネス湖のコーヒー社」は、コーヒー豆の入った小さなカプセル(コーヒーミルクの容器のような感じ)をカチッとセットしてボタンを押すとあっという間に本格的なコーヒーが飲めるというコーヒー好きにとっては夢のようなマシーンを出しています。最近はデパートでデモンストレーションをしていたりするので私も何度か目にしました。このマシーンがなかなかの優れモノで普通のコーヒーはもちろん、それこそ街のカフェじゃないと飲むことができないようなコーヒーを基調とした様々なフレーバーの凝ったドリンクが短時間で、しかも家庭で作れてしまうのです。番組では、本社からエラい人(社長だったのか、極東担当だったのかはちょっと覚えていません。)が、是非その素敵なマシーンを日本の家庭に普及させたいと、今後は抹茶入りラテのような日本人好みの味を開発したり、その前段階として市井の人々にまずそのマシーンの存在を知って貰うべくとあるコンビニエンスストアと手を組もうと大いなる野望を抱いて来日したのでした。まずは如何にその存在をアピールしていくかというと、これがなかなか商売上手。まず、街頭でその豆の入ったカプセルのサンプルを配ります。家庭にそのマシーンがないとこんなカプセルをもらったとしても意味がないのですが、なんとそのサンプルのカプセルをとあるコンビニエンスストアに持って行くと、そこのコンビニにそのマシーンが置いてあるのでそこで実際にそのマシーンを体験することができ、試飲もできるというわけなのですよ。頭いいですね~。果たしてこのマシーンが日本の家庭に普及するのか、日本の主婦が考えてみました。さて、まず最初に考えるのはお値段ですが、マシーン本体は約30,000円~50,000円(消費税を含む)くらい。コーヒー一杯を抽出するためのカプセル一個あたりの値段は平均で70円。マシーン本体は決して気軽に買えるお値段ではありません。しかし、美味しいコーヒーが飲めるのならいくら出したって構わないという方もいらっしゃるでしょうから、高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょうね。で、肝心のカプセルについてですが、我が家では毎日平均して夫は1杯、私は3杯のコーヒーを飲んでいるのですが、それを当てはめて計算すると1日当たり280円の予算となります。我が家ではいつも200グラムで600円弱のコーヒー豆を購入してそれを1週間~10日で飲み切っているのですが、このマシーンを使うとなるとその予算が僅か2日にしてぶっ飛んでしまう計算になります。う~ん、これは少々痛いなぁ。次に、一部を除いては住宅事情の悪い我が国でのマシーンの置き場所について考えてみましょう。欧米の余裕のあるキッチンならばポンと置いておいても邪魔にはなりません。そのような適度に広さがあり所帯じみたものがなく、すっきりしたキッチンをお持ちのセレブなお宅にはぴったりです。しかーし、一般庶民の家はどうでしょうね。たださえ狭い空間にすき間家具を入れたりして収納を補っているのが大半でしょう。そこへこのようものを置いてもそのうち埋もれてしまうのが関の山ではないかと。昔流行った餅つき機もジューサーミキサーも、8~9割が「いつの間にか仕舞い込まれて・・・」という運命を辿ったのではないでしょうか。機械モノは難しいです。さて、主婦として一番気になるのは、ゴミの問題と豆の入ったカプセルを定期購入せねば使えないというところです。手軽なのはいいけれど、毎回プラスチックごみが出るのには私はちょっと抵抗があるんだなぁ。だから私はどんなに手軽でも一杯分を個別包装してあるカップに立ててお湯を注げばいいだけのレギュラーコーヒーでさえも抵抗があるんだよ。あと、何でもそうなのだけれど「決まったメーカーの替え」を使わなければそのものが使えないという商品というものにも抵抗があるのです。例えば、使った油が驚くほどきれいになる油濾し器があって心が揺らぐのだけれど、そのためにはきまったカートリッジが必要なのさ。それがないと油濾し器として用を成さないので永遠にそれを買い続けねばならないというプレッシャーがあるので私には使えんのです。なくなったとしてもすぐそこで手に入るものでないと人間は面倒になってそのうち使わなくなってしまいますからね。このことから、私は長く使いたいものほどシンプルな方がいいと思うのです。手入れもラクだし。コーヒーだって、ペーパーフィルターとドリッパー、好みに応じて豆を挽くものさえあれば十分にうまいコーヒーが飲めるのです。特に最近我が国ではスローライフと称して極力モノを持たないで暮らす傾向にあります。便利な炊飯器を捨てて土鍋で飯を炊き、と回帰しているではありませんか。かける手間と時間で豊かさを作り出す時代になっているのですね。最後に、コーヒー愛好者には自分の手でコーヒーを淹れることを楽しんでいるので機械を使わない方も多いかと思われます。私もそうだなぁ。コーヒーメーカーがあったら便利でいいかなと思う反面「機械になんか任せておけねぇ」と思う自分がいたりするのです。コーヒー豆を蒸らした後にお湯を注ぐとブクブクと立ってくる泡を見て「おお、元気そうじゃのう」と豆の健康状態を把握したり、ドリップ式の場合はお湯が残っている状態でドリッパーを引き上げないと雑味が残ってしまったりするのでそのタイミングを見計らったりと、コーヒーを入れる際の豆との対話も、コーヒーが好きな人間にとってはお楽しみであもあるのです。以上のことから、今後このマシーンが一般家庭に普及する割合は(現在マシーンを持っている人を除いて)コーヒーを愛好する人口の約2割、多く見積もっても3割というところかもしれません。もし、このマシーンを無料提供したり比較的廉価に貸与した場合には4割くらいまで上がるかもしれません。しかしその場合は豆の入ったカートリッジで元を取らねばいけないので少々厳しいかもしれないですね。私としては「ネス湖のコーヒー社」がインスタントかこのような高級路線しかなく、その中間に位置しているコーヒー愛好者を対称にしていないのが気になるなぁ。例えば「明日のコーヒーが切れている」と気がついた際にコンビにでも買える多少割高でも新鮮で小さなパックに入った本格的なコーヒー豆を置いてもらったりした方が「家飲み派」を増やせるのではないかと思うのですけどね。でも、このマシーンを使ってみたい気もするねぇ。私だったら手動と自動をうまく平行させながらコーヒーライフを楽しむかも。まぁ、無料で手に入れたらの場合ですが。