カテゴリ:だんじり
だんじり祭のメインイベント、宮入(みやいり;神社へだんじりがお参り)の日がやってきました。昨日の見所は駅前でのパレードです。五穀豊穣を祈願するのが始まりでしたが、今は鎮守の神様にお参りしているので、お参りする神社は1つではなく、3つの神社にそれぞれ分散してお参りしています。鳥居をくぐって、だんじりが本当にお参りするんですよ!すごいでしょう!
神社では、神主さまにだんじりをお祓いをしていただき、責任者がお参りをします。一番有名なのは、お城のすぐそばにある岸城神社(きしきじんじゃ)にお参りする時です。その神社にたどりつくまでに、小半坂(こなからざか;直角の1/4の角度の坂。半分の半分w)を重さ4トンのだんじりが駆け上がり、その坂の頂点でやりまわしする(直角に曲がる)、という豪快な見所があります。 あまりにも坂が急なため、ここで失速すると登りにくく曲がりにくいので、だんじりの鳴り物(なりもの;太鼓や笛など)が気合の入った拍子を鳴らし、曳き手に喝!を入れます。この太鼓の音を聞いて、燃えない日本人はいないと思います。正に圧巻。 だんじりの綱は町ごとに長さが違い、曳き手の人数にあったものになっています。だんじりの大きさも町ごとにまちまちです。綱は、綱先(つなさき)、綱中(つななか)、綱元(つなもと)の3つに分かれていて、それぞれ重要な役割があります。綱先はたるんじゃいけない。綱中は勢いを消さないように全力で曳く。綱元が綱中の力をだんじりに伝えて、やりまわしを成功させます。 綱元はだんじりのすぐそばで曳くので、ひとつ間違えばだんじりの下敷きです。また、綱元が綱を上に引き上げてしまうと、だんじりが浮き上がって転倒してしまうので、そうならないように姿勢を低くして忍者のように走ります。見てるだけで卒倒しそうですが、上手な町は、見事にやりまわしをしています。 綱で曳くだけではだんじりは曲がらないので、前梃子(まえでこ;左右のブレーキ)で軸を作って、太い後梃子(うしろでこ;方向転換)を10人以上で振り回して直角に曲がります。後梃子の人たちは勢い余って、飛ばされたり、転がっていったり、観客の中に突っ込んでいったりすることがあります。前梃子は左右それぞれ1名ずつで分担しますが、よく死亡事故が起こってしまうのは、この前梃子です。 今ブレーキをかけないと曲がれない、ここで曲がらなければという使命感でギリギリまで前梃子を離さずにいる場合、建物や電信柱とだんじりの間に、挟まってしまうことがあります。直前で逃げようとすれば逃げられたかも知れません。命がないと、大好きなだんじりを曳くこともできないのです。それでも逃げない、逃げられなかった人が事故にあいます。だんじりが曲がれないのは前梃子だけの責任ではなく、全員の息がぴったり合わないと曲がれないので、逃げて欲しいと思います。 だんじりの前には3名、真ん中に曳行責任者(えいこうせきにんしゃ;最高責任者)が乗り、だんじり本体のブレーキを担当し、その両側には町会長と、あとの1人は町によって乗る人を決めます。だんじり本体のブレーキは頻繁に踏むと、だんじりがつんのめってしまうので安易に踏めません。この曳行責任者の気持ちは、「だんじり会館」の3Dの振動椅子付きスクリーンで体験することができます。非常に勇気のいる役割だと思います。 今日で、だんじり祭は終わります。夜の灯入れ曳行(ひいれえいこう;提灯を飾りつけ)では駆け足することなく、ゆったりと練り歩きます。このときは少し近くに寄って、だんじりの彫り物を観賞することができます。 22時を過ぎ、だんじりが地車小屋(だんじりごや)に納められ、小屋の扉が閉ざされる瞬間まで、だんじりの周りには人々があつまり、来年までの別れを惜しみます。扉を閉める時には仕舞い太鼓(しまいだいこ)と呼ばれる鳴り物の拍子に合わせて、劇場のように扉やシャッターが閉まっていきます。じ~んとしますよ。 夜の提灯の灯りに包まれて曳行する様子は夢のようです。また来年、できれば無事故で終われることをおいのりします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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