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テーマ:普通に生きない♪(404)
カテゴリ:想い
この日記は「愛娘(第2話)」の続きです。
そして、この日記は2004年11月に掲載しましたものの再録です。 ========== 小腹がすいたので急ごしらえでヤキソバを作り、日当たりの良い縁側に陣取るボク達。 庭に向かいながら縁側の濡れ縁に座って、二人並んでヤキソバを食べています。 「日向ぼっこしながら食べるのも乙なものでしょ?」 『はい、いいですよね。でも、日当たりが最高な家の作りですねぇ。』 「はっくしゅん!」 太陽を見たらクシャミをしてしまったボク。 『ヒロさん、クシャミでヤキソバを吹き飛ばしちゃいましたよぉ。』 クシャミをした勢いで口からヤキソバを吹いてしまったボク。 手際良くボクの足に舞い落ちたヤキソバを拭きとってくれる●美ちゃん。 流石、手際の良さに定評のあるナースで、仕事では介護も手際が良いと定評のある●美ちゃん。 普通の娘さんだったら恥ずかしい気持ちが最前面に出てしまうもの。 幾ら仲良しとはいえ、他人の男の腹やら脚などに手を差し伸べる事に躊躇するものですよ。 ところが、躊躇することなくボクの腹やら脚やらを優しく撫でるように拭いている●美ちゃん。 仕事柄、性別年齢に関係なく看護や介護を日常業務としている●美ちゃん。 まるで恋人に触れるような優しさと雰囲気などという錯覚に陥るボクです。 「これだから、世の男達はナースに憧れるのだろうか?」なんて思わず考えるボク。 『ヒロさん? ボーっとあたしを見つめてどうしたんですかぁ?』 「あ、御免。●美ちゃんの彼氏は幸せだなと物思いにふけながら見つめてしまったよ。」 『幸せじゃないですよぉ・・・・・』 そう言うと、突然に脚を拭く手が止まってしまう●美ちゃんは独り言の様に続けて・・・ 『だって、急に居なくなっちゃいましたしぃ・・・・』 その言葉を聞いた瞬間、数年前の奈菜ちゃんを思い出すボク。 空き巣に入られて金品を根こそぎ盗られた時の奈菜ちゃんを思い出すボク。 「もしかして、今日の一件、彼氏に原因があるのかな?」 『はい・・・・・』 それから二、三時間、●美ちゃんから今回の借金申し入れの経緯を全て語られ聞かされたボク。 要は、●美ちゃんが借りるアパートで半同棲状態だったのだが、彼氏が金を持ったまま行方不明になった。 ●美ちゃんの銀行口座から預金を全部引き出していたこと。 ●美ちゃんの銀行カードはキャッシュとローンが合わさったカードだったこと。 キャッシュだけでなくローンの方からも貸付限度枠限界まで引き出されてしまったこと。 しかも、クレジットカードも貸付枠限界まで使われていたこと等々・・・・・。 「●美ちゃん? 今日貸してあげた金額だけでは足りないじゃない。」 『はい・・・・・』 二十歳そこそこの娘さんには抱えきれない金額を引き出して逃亡してしまった彼氏。 そんな彼氏でも好きだから、愛しているから警察沙汰にしたくないと言い張る●美ちゃん。 ●美ちゃんのご両親は離婚していて、両親ともを嫌っている●美ちゃん・・・。 自分達の好き勝手ばかりしていて●美ちゃんのことも考えずに離婚してしまった両親。 離婚してしまったと思ったら既に新しい家庭を個々に、勝手に築いているという話で・・・。 だから、両親にも何も相談していないとのことを聞かされ驚くばかりのボク。 そんなこんなで“姐さん”と慕っていてる奈菜ちゃんへ“イの一番”に相談したとのことでした。 『もう、どうしたらいいのか分かんないですぅ・・・・・。』 今回の経緯を説明しながら大粒の涙をポロポロ流す●美ちゃん。 涙も流れる訳です。いや、流れなかったらどうかしています。 「とりあえず、我が家に来なさい。」 『え? あたし、ヒロさんの御自宅に今居ますけど?』 「そうじゃなくて、ボクの家の二階に空き部屋があるから、今すぐにでも引っ越してきなさい。」 『・・・・・。』 目が点になったままポカンと口を開いてボクを見つめる●美ちゃん。 「そんな大きな負債を抱えたまま一人暮らしをしていたら、5年以上も返済で時間が過ぎてしまうよ。」 『・・・・・。』 その言葉にボクを見つめていた顔を床に向けて俯いてしまう●美ちゃん。 「うちで遊んでいる部屋があるから、その部屋を自由に使って良いから、うちに来なさい。」 上目遣いにボクの顔を不思議そうに見る●美ちゃん。 「余計なことは考えなくて良いから。」 『余計なことって・・・・・』 相変わらず不思議そうな顔でボクを見る●美ちゃん。 「どうして家族でも親戚でもない他人の自分に“そんな話”を持ちかけるのかということだよ。」 『でも、そんな・・・・何だか・・・・・』 「何だか悪い? そんな余計なことも考えなくて良いよ。で、いつ引越ししようか?」 『え? あの・・・・・』 「今から、一緒に奈菜ちゃんに会いに行こうか。それで、今の話をしてこようね。」 善は急げということで、さっそく奈菜ちゃんが入院する病院へ向かうボク達でした。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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