翼をください
昼間から子供達が道端でマリワナを吹かしています。年のころ11歳前後でしょうか,,身なりは小奇麗で鮮やかな色の偽者ブランドTシャツがまぶしい..レンガで覆われた素朴な建物が続いていますが、多くの建物は高価なケーブルテレビのアンテナが立っています。Villa 31.. ハーレム31 人々が恐れる場所が高速バス発着駅レティーロ周辺にあります。いつもバスが一瞬最寄を通過するため、毎回到着直前、旅の余韻が冷める思いで眺めていました。そのVilla 31の中にある家の中から立ち並ぶ高層住宅のビルを眺めていました。佇む場所が変われば..常にみているものが全く別のものに見える。多くの住民はインディオの血を誇りにしている。マプチェ、トバ..アルゼンチン多くの原住民は、ヨーロッパからやってきた人々に殺され、土地を奪われ追いやられてしまった。そんな人々や労働者として連れてこられた多くのボリビアやパラグアイ人、彼等は国の傾きと共に工場閉鎖などで仕事を失い、家を失って同じくこの場所に住んでいる。この場所からブエノス市内へ通い、バスや路上で演奏しながらインディオの広報活動を行っている才能豊かな青年と出会いました。路上の向こうから聞こえてきた彼の音色はダントツに輝いていた。共に何かを煮詰めていこうとリハーサルを重ね準備をしていたのですが,,さあこれから!宣材となる写真撮影の日。思わぬ展開に遭遇しました。「僕は共同体の一員、共同体を知ってほしい...」インディオの名目の下で金儲けに励むインチキ音楽家の数々の悪事を教えられ、本来のインディオとして生きる方針etc そんな一連の話の後、辿りついた場所。この後、この地区の高校で行われたインディオの日のコンサートに参加したのですが、なんだかんだいって彼等はインチキ音楽家(と彼等が呼ぶ)の歌を歌っていて,,彼等のいうメッセージを見失いました。貧しさと嫉妬、そして怠惰,, アイデンティティと将来の模索,,これらを全て受け入れて仕事を煮詰めるのは,, ちょっと、いやカナリ難しい。 そもそも芸術は、ある程度の余裕(金銭面だけでなく)があってこそ高めることのできる非常に個人的なもの。それら全てを支えあって生きている共同体の一員は、幾ら才能があっても飛び出すことのできない世界を背負っている。彼の夢と葛藤、そして混乱に気がつきました。 そして様々な豊かさの上で成り立っているもの,,このまま進むのか、方向転換をするのか,,即、答は出ないけれど、全てを背負って飛べるほど大きな翼は持ち合わせていない。今はただ、これまで築いてきたことを煮詰め新しいものを創りたい。個人的には翼というものは求めるものではなく、鍛えるもの..だと思います。