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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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March 26, 2006
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カテゴリ:My Favorites・・
               <誰もいない一瞬を待って・・>

知り合いの演奏家が出演する演奏会が、JR茅野駅に隣接するホールであり、お祝いのお花を持って出かけました。開演時間を過ぎてから到着いたしましたが、知り合いの演奏には間に合い、素晴らしいシューベルトのトリオを聴いて、幸せな気持ちでホールの階段を下り始めました。ふと、階段の下の空間を見ると、やわらかな照明の光の中、モノクロームの写真が整然と並んでいるのが目に留まったのでございます。
そこは、茅野市美術館。「音楽の友」最新号でも紹介されていた、音楽写真家、木之下晃氏の写真展が、ここで催されていたのでした。
早速会場に足を踏み入れてみることに・・。
受付のカウンターで作品リストを受け取り、いちばん手前から順に見ていくようになっています。
展示作品は、全104点。104人の、名だたる音楽家の顔が並んでいます。既に鬼籍に入っている方も多く、木之下氏の長きに亘る活動がここに凝縮されているのがわかります。
さて、まず指揮者は、クラディオ・アッバードから始まり、ウラディーミル・アシュケナージ、カール・ベームなどの錚々たる面々。朝比奈隆氏はキッと奥を凝視、「いいね、そこ」と目で指示しているかのよう。バレンボイムは4年前の写真。両手を上げて祈るように目を閉じているバーンスタイン、昨年亡くなったジュリーニも、奇しくも祈りを捧げるが如く手を合わせて。全てを包み込むように、まっすぐに手を伸ばしているカラヤン、笑顔のクライバー、武骨な表情の中に固い意志が見えるマズア、騎士の如きムーティ、まだ髪の黒い溢れる若さの小澤征爾氏、大きなお腹のベストがはち切れそうなシノーポリ、刺すような視線のメータは頬に汗が光ります。渡辺暁雄氏の優しい表情は、心に残る1枚でございました。指揮者だけでも37人の顔が一堂に会していて、「お会いできてうれしいです」という気持ちと、彼らのパワーに圧倒される気持ちとのコラボレーションを密かに楽しみました。
次はピアニスト。遠い目をして、何を思うかアルゲリッチ。髭をたくわえたアラウは、わたくしにとって幻のピアニスト。初めて買った彼のオーチャード・ホールでの公演のチケットがキャンセルになり、2度と聴く機会を失った思い出がございます。そして瞑想するアップのミケランジェリ、鍵盤が眼鏡に映っているファニーフェイスのブレンデル、体重をかけて鍵盤を押し込み、今にも立ち上がりそうなリヒテル、踊るツィメルマン、他にもラローチャ、クライバーン、ホロヴィッツ、ルビンシュタインなどの大家、若いポリーニの姿も。ヴァイオリニストでは、ソ連の秘蔵っ子コーガン、味の出てきた頃のクレーメル、パールマン、30年前のスターン、神々しいまでのメニューイン。わたくしが持っているブラームスのダブルコンチェルトの奏者、シェリングとシュタルケルが、寄り添うように展示されていたのは興味深かったです。チェリストは、前掲のシュタルケルの他、まだ細身の青い青いヨーヨー・マ、民族衣装のような独特の装いのマイスキー、トゥルトリエ、そしてショスタコーヴィチ、プロコフィエフなどとも親交のあった、「生きる現代音楽史」ロストロポーヴィチ。
声楽家では、3大テノールはもちろん、やはりいつも紳士のディースカウ、全身で歌うノーマン、魂の発露カラス、見開いた目の横顔が強い印象を受けるバルトーリ。
104人全員をここではとてもご紹介しきれませんが、どの写真をとっても、それぞれの音楽家その人の人生が、印画紙にそのまま写しこまれていることが、大きな感動と共に胸に迫って(本当に、こちらに迫ってくるのです)まいりました。ほんの一瞬を切りとった、写真という媒体を通して、人は、自らをここまであからさまに見せてしまうのです。
そして、モノクロームでありながら、見る者に鮮やかな色彩を感じさせる木之下氏の高度なテクニック。その道のパイオニアとして、第一線で長く活躍されている氏の凄み、情熱に触れることができ、新たな力をいただいたような思いでございます。(嗚呼、自分の稚拙な文章がもどかしい・・。)
ふと立ち寄った美術館での、素晴らしい105人(木之下氏も含めて)との、幸せな出逢いでございました。





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Last updated  March 30, 2006 06:38:42 AM
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