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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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April 20, 2006
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カテゴリ:楽しむは音

川向こうの落葉松林の芽吹きが始まりました。ぼんやりとモスグリーンの霞がかかったような、幻想的な光景でございます。そちらの方からは、今年もキジの鳴く声も聞こえてまいります。キジは早起きで、朝5時頃から「ケーンケン」と鳴くのです。

今朝、通勤の車中でNHK-FMを入れたところ、ちょうどフォーレの「ピアノ四重奏曲第1番」が始まるところでございました。パスカル・ロジェのピアノと、イザイ弦楽四重奏団の、古きよき時代を彷彿とさせるおっとりとした演奏。
海のうねりのような第1楽章の冒頭部、寄せては返す波が海岸の岩にくだけるような印象で、わたくしが大好きな曲のひとつです。
この曲を聴きながら、懐かしい思い出がよみがえってまいりました。それは、タイフーン・カルテット。
ご記憶の方も多いことでしょう。古澤巌(Vn)、ポール・コレッティ(Va)、フランシス・グトン(Vc)、フィリップ・ブッシュ(Pf)の4人がメンバーのカルテットでございます。こうして何の資料にも頼ることなくすらすらと彼らの名前が出てくるのは、あの頃の演奏を好んで、馴れ親しんだ賜物でございます。
あの頃・・。10数年前、彼らが演奏する前述のフォーレを、わたくしはコンサートで何度も聴く機会がありました。
当時古澤氏は、ストラッドを手放してまで手に入れたグァルネリ・デル・ジェスのために、精力的に演奏活動を行っていたという事情を存じております。故ナタン・ミルシテイン氏の薫陶を受けた彼の音色はいつ聴いても透明であたたかく美しく、デル・ジェスに替えてからは、そこにさらに深みが加わり、聴く者を魅了いたしました。
そして、気の合う者同士で組んだこのカルテット。お互いのスケジュールを合わせるのが大変だったそうですが、いつも彼らの演奏はぴったりと呼吸が合い、それでいてMCも楽しめるという和やかな雰囲気で、常に客席はいっぱいの盛況ぶりでございました。
さて、彼らのフォーレは、いつも第1、第4楽章のみの演奏でした。現代的なエスプリに満ちた快活な演奏で、「全楽章が聴けたらもっといいのに・・」と思われる方も多かったことでしょう。でも、彼らに言わせると、
「音楽は、演奏する側も聴く側も楽しくなくては」(古澤氏)
「第3楽章なんて、退屈すぎて弾きながら眠っちゃうよ。グーッ」(ポール氏)
・・なのだそうです。(その精神は、彼らのCDにも貫かれ、やはり第1、第4楽章しか収録されていません。)
コンサート後は、必ずホールのホワイエにメンバー全員が現れて、聴衆とフレンドリーにワイングラスを傾けたり、写真を撮ったり、サインをする姿が見られました。ある時はわたくしも、当時ベルギーのオステンドに赴任していた同僚に依頼して手に入れた、グラズノフの「瞑想曲」の楽譜を持参し、古澤氏にお見せしたところ、「ああー、よくこれが手に入りましたね」とパラパラとページを繰りながら感慨深くおっしゃり、メンバー全員がサインをして下さいました。
今でもこの楽譜はわたくしの宝物でございます。
時は移り、彼らもわたくしも神様に与えられた分の年齢を重ねましたが、あのあたたかなタイフーン・カルテットの、空気を震わせる演奏を、できることならいつかふたたび聴いてみたいものでございます。
・・そんなことに思いを巡らせているうちに、フォーレの第3楽章の半ばあたりで車は会社に到着し、ロジェ氏とイザイ・カルテットの第4楽章は聴けずじまいでございました。
ところで、グラズノフの「瞑想曲」、どなたかヴァイオリンでわたくし(Pf)と弾いて下さる方はいらっしゃらないでしょうか・・。






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Last updated  April 22, 2006 08:33:52 AM
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