午前中、麻呂達と麻呂父は隣町の催し物に出かけてしまったので、わたくしは、2麻呂へお見舞いを下さった方へお手紙を書くことにいたしました。そう、このCDを聴きながら。
ツィマーマンのショパンは、抑制が利いた中にも、ポーランドの土着の血がちゃんと音として表れていて、なおかつ進むべき方向を見失わない演奏です。どんなにテンポが速くなっても、どんなに音符があっちこっちに行っても、最後にはきちんと収まるべき場所に収まってくれるのでございます。
1番。どうしてこんな風に激しく、しかも整然と弾けるのでしょう。わたくしが弾いても、これが同じ曲かと思うほど違って聞こえてしまうのです。
それから3番。上流階級のサロンにはぴったりだったであろうこの優雅な曲は、中間部に左手と右手がそれぞれ役割を分けて、交互に激しく動きます。楽譜を見ると、その激しさがよくわかります。ここでもツィマーマンはうまく抑制を利かせ、後に待っているクライマックスへと、聴く者を誘う(いざなう)のでございます。
ポーランドの星として脚光を浴びたショパンコンクール優勝から早31年。昨年は、彼以来30年ぶりのポーランド人の新鋭ラハウ・ブレハッチが優勝し、その比較対象としてツィマーマンの名も何度か聞こえてきました。
次回の来日はいつでしょう。更に円熟を増した彼のピアノを、是非、生で聴いてみたいものでございます。