萌えいずる新緑が目に冴え冴えと映ります。ここ数日、特に緑色の勢いが増してきたようで
ございます。
そして、木々の芽吹きとともにソメイヨシノの花が終わり、あとを引き継ぐのはヤマザクラ。
この時期、山のあちこちにぼうっと、薄桃色のこんもりした固まりが出現します。それがかの花。
花が終わると、他の木と同じ緑色になってわからなくなってしまうため、毎年、この時期に
なってその固まりの光景を見つけると、あらためて「ああ、あそこにヤマザクラがあったのだわ。
今年もちゃんと咲いているわ」と、思い出すのでございます。ソメイヨシノのような華やかさは
ありませんが、律儀な花、凛々しい花でございます。
そんなヤマザクラを目にしながらの通勤の行き帰り。
今日は、帰宅時にFMをつけると、ちょうどジェームズ・レバイン指揮、ウィーン・フィルの演奏で、
ブラームスの2番の交響曲が始まるところでした。
パーソナリティの方も「牧歌的な」と紹介していたように、のどかな光に満ちた第1楽章の旋律。
ホルンの優しい響き、鳥のさえずりのような木管が、まさに今の時期にふさわしく、個人的に
「春」と名づけたくなる曲でございます。
途中、お買い物をしていたので、車に戻ると第4楽章になっていました。
それまで控えめに控えめに鳴っていた楽器が、満を持して高らかに歌いあげます。
嗚呼、これが春の喜びなのだわ・・と、うっとりと聴き入ってしまいました。
ブラームスの生きた時代でも、そして現代でも、また、ドイツでも、日本でも、春を待ち焦がれる
気持ちは同じはず。ブラームスがこの2番をどのようなシチュエーションで書いたのかは不勉強な
わたくしは存じませんが(どなたかお教え下さい)、わたくしの中では、「春」を喜ぶ、そして幸せを
感じる曲なのでございます。