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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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June 15, 2006
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カテゴリ:楽しむは音

6月15日は、エドヴァルト・グリーグの誕生日。・・ということで、今も懐かしく心に残る
思い出をひとつ、お話しすることにいたします。
グリーグの曲で、いちばん思い出深いのは、1994年、厳寒の2月、今にして思えば
最後の来日となった(たぶん・・)、スヴャトスラフ・リヒテルのリサイタル。
リサイタル当日まで、演奏曲目は明らかにされない彼独特のスタイルを貫き、会場で
受け取ったそのホール手作りの、シンプルでいかにも「なんとか間に合わせました」と
思わせるプログラムには、グリーグの「抒情小品集」からの22曲が並んでいました。
田舎でも、ほぼ満席に近い客席は、彼の人気の高さを物語っていて、日にちが迫って
きても迷いに迷ってチケットを買ったわたくしと友人は、3階の、右に回り込んだ席。
ピアノの大屋根が邪魔して、手の動きは全く見えません。でも、幸運にもマエストロの
お顔がよく見える席でした。
当時、グリーグのこの曲集は、わたくしにとってはほとんど馴染みがありませんでした。
それでも、マエストロがステージに現れて、楽譜を見るために眼鏡をかけ、1曲目の
「アリエッタ」を弾き出すと、わたくしは別の次元へと導かれてゆきました。
自然への畏敬の念が深い北欧の人、グリーグらしい、季節の風物を細やかに描いた
素敵な作品集で、目の前に情景が浮かぶような「夜警の歌」、「妖精の踊り」などの
美しい旋律が続きます。
「蝶々」、「春に寄す」、「鐘の音」は、聴いたことがある曲で、ホールに広がるマエストロの
音の残像を、できることなら手でかき集めてバッグに入れ、家に持ち帰りたい衝動に
駆られたのも、宝もののような思い出でございます。
「トロルドハウゲンの婚礼の日」は、勇壮で親しみやすい旋律で好きな曲。
最後は「余韻」で締めくくったグリーグの世界。文字通り、極上の余韻の残るリサイタルで
ございました。マエストロは、一度も微笑むことはありませんでしたが、かと言って不機嫌
なのではなく、あたたかな拍手を送る聴衆を見据えながら、無言の対話を交わしている
ようにも見えました。
アンコールもまた素晴らしく、わたくしはあとにも先にも、あの時しか味わったことがない
体験をいたしましたが、それはまた違う機会にお話しできればと思います。
寒い冬の夜、感動の余り、楽屋口で「出待ち」をしたわたくし達の前を、マエストロは、
静かな微笑みと共に通り過ぎてゆかれました。あの笑顔、忘れません。
テーマのグリーグよりも、リヒテルがメインになってしまいました。お許し下さいませ。






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Last updated  June 16, 2006 11:54:03 PM
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