今日のベスト・オブ・クラシック。大好きな曲のひとつ、プロコフィエフのピアノコンチェルト
第3番が流れました。
昨年1月、アムステルダムでのライブで、ダニエーレ・ガッティ指揮、ロイヤルコンセルト
ヘボウ管弦楽団、ソリストはラン・ランの演奏です!
なんといってもプロコの3番は勢いが命。オケに挑むが如く、ピアノの音を立てて弾くのが
常識的で、以前聴いたアルゲリッチのライブなどは、実にスリリングで、手に汗握る、
まさにソリストとオケの、究極のかけ合いでした。
しかし、この日のラン・ランには協調性がありました。
そしてコンセルトヘボウも、相変わらず垢抜けた演奏で、ラン・ランのピアノを引き立てます。
こんなプロコ、初めて!全く新しい解釈でございます。
まるで、口あたりのよいアイスクリームのようです。
第1楽章、もの悲しいクラリネットの音色に導かれ、オケの波が押し寄せます。
そして少し控えめに入ったソロ。「これがあのラン・ラン?」と思えるほど。
でも、これもまたひとつの斬新な試みですね。彼らしい。
迷路のような第2楽章でも、抑制を効かせた音運びでオケの海を漂います。
ヨーロッパの方は、このような演奏を好むのでしょうか。
第3楽章は、なんだかあっけらかんと弾ききって、カラッと終わりました。
聴衆は、一瞬、拍手するのに間がありました。
そうか・・。この演奏、もしかしたらあちらの方々も戸惑っているのかも・・。
考えてみれば、ひと昔前までは、聴衆が好むような演奏を強いられていた演奏家達。
でも、今は違います。それぞれの個性を余すところなく発揮して、それが自分の好みか
そうでないかは、聴衆の判断に委ねられる時代になったのです。
皆が皆、同じような演奏をしているのではつまらない・・・。
ラン・ランのプロコも、そのような観点で見ると、実に画期的な演奏であったと思うのです。
それにしても、彼は今回もやはりあの、顔中の筋肉を駆使した、変幻自在の表情で
この曲を弾いたのでしょうか・・。見てみたい気もいたします。