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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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September 3, 2006
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カテゴリ:楽しむは音
昨日の合宿のつづきを書くつもりでしたが、ゆうべの帰宅後、2麻呂は熱を出しました。
今朝になっても38℃台前半を推移し、本日の合宿参加は断念せざるを得ません。
いつものようにアイロンがけをしながらゆったりと午前中を過ごし、午後はハイドンの
チェロコンチェルトを聴くことにいたしました。

チェロ協奏曲第1番。初秋の日曜の午後の光の中で聴くにふさわしい音楽でございます。
清らかで、一分の曇りもないこの曲を、比類なき天才、ヨーヨー・マのチェロ、イギリス室内
管弦楽団、ホセ・ルイス・ガルシアの指揮で聴きました。
1979年の録音。マ氏は当時24歳。若さに溢れ、なおかつ天賦の才を持つものだけに
許される「芸の極み」に既に到達していて、聴き手を心地よく酔わせてくれます。たとえるなら、
熟成を迎えたワインのよう。決して力むことなく心に入ってくる音は、芳醇な香りと深い色あい
に満ちています。このような演奏こそ、時を忘れて聴き入ってしまうものなのですね。
そして気づくと、ビンは空に(つまり、曲は終わっている)なっているのでございます。
マ氏は以前から、故ジャクリーヌ・デュ・プレが使用していたストラディバリ製の楽器を使って
いますが、この録音当時はデュ・プレはご存命の頃。不勉強なわたくしは、当時の楽器に
ついては存じませんが、全身に響く低音が魅力的な音色の楽器でございます。

第2楽章アダージョは、現在、某社のカレールウのCMで使われていますね。
この楽章は、びっくりするような斬新な和声に彩られていて、わたくしにトーマス・ニューマンの
映画音楽を思い起こさせます。この時代にこんな和声があったとは。
王侯貴族の気に入る音楽を作ることに心を砕いたハイドンは、がんじがらめの音楽ばかりを
作曲していたのかと思いきや、こんな自由な和声を用いていたのですね。
しかも、チェロ協奏曲の第2楽章という位置に、さりげなく・・。
マ氏はここでも、うっとりするような旋律で酔わせてくれます。

マ氏は、彼のお母様の著書「わが子、ヨーヨー」によると、幼い頃に2度、危ない目に遭って
いるのだとか。一度は、生まれて間もない乳児の頃。厳寒のパリの、夜のアパルトマン。
ただならぬ、ある気配で目が覚めた母は、我が子が凍死寸前の虫の息でいることに気づき、
必死でマ氏の身体をさすり、自らの胸を開いてその冷たい我が子を抱きしめ続けたまま
朝を迎え、その結果、事無きを得た・・という逸話。あの時、目覚めていなければヨーヨーは
・・と、本の中で回想されていました。
もう一度は、幼児の頃、遊んでいて窓枠に左手指を挟んだ、あるいは挟みそうになった・・と
いう逸話。こちらはわたくしの記憶が曖昧でいけないのですが、この時も母は、ヨーヨーが
楽器が弾けなくなったら・・・と、想像を絶する憂慮と苦悩の日々を過ごしたそうです。
偉大な人物には、必ず偉大な母がいるもの。
マ氏のお母様の足下にも及ばないわたくしも、このような母になりたいものだと、心に留めて
常に励みにしたい、お手本のような方でございます。
「・・だったら、こんなこと言っている間に我が子の具合でも見なさい!」
とお声が飛んできそうですね。はい!おっしゃるとおりでございます!





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Last updated  September 4, 2006 12:53:36 PM
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