10月8日は武満徹の誕生日。
今年は没後10年、セレモニアル・イヤーということもあり、彼の作品が再び注目されても
いますね。
27歳の時に「弦楽のためのレクイエム」で音楽界に登場。
その2年後、この作品をストラヴィンスキーが絶賛し、光を当てたことで、彼の国際的な評価が
高まったことはつとに有名なエピソードとして知られています。
管弦楽の作品が多い彼ですが、今日は、心に響く彼の合唱曲をご紹介。
「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」。
もともとは、彼が、黒澤明監督「乱」の映画音楽に携わった時に、スタッフが監督の「気分」を、
「晴れかな、曇りかなあ」と心配している様子を即興で曲にしたものなのだそうですが、
聴くだけで心がやさしくなる、とても即興で作ったようには思えない素敵な旋律でございます。
石川セリさんと小室等さんが歌っているものも聴いたことがありますが、わたくしは、
混声合唱で歌われているものがお気に入り。
みじかい曲なのですが、ふっと肩に入っていた余計な力が抜けてゆく・・、そんな気持ちに
させてくれる歌でございます。
数年前、武満徹氏の使用していたピアノを軽井沢で拝見したことがあります。
いい色になった象牙の鍵盤。定かではないのですが、作曲家仲間であった黛敏郎氏から
贈られたものだったように記憶しております。(違っていたらすみません)
このピアノで数々の作品が生み出されていったのだと、感慨もひとしおでございました。
今後も彼の作品が、多くの人に聴かれることを願ってやみません。