中秋の名月も、十六夜も過ぎてしまいましたが、そろそろ今宵の月が、山の向こうから
昇って顔を出す頃です。
今宵は、わたくし、無謀にも、ブラームスの交響曲三昧での、夕食の支度を試みてみました。
第1番 : ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団 1959年録音
第2番 : ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮、ロンドン・フィル
第4番 : ジェームス・レヴァイン指揮、ウィーン・フィル 1994年ライヴ録音
第3番は、探してみましたが、遥か昔に共同購入で買った「恋する乙女」のための
オムニバス盤の中に、今更語ることもないほど有名な、第3楽章だけしか見つからず、
これでは邪道なので却下いたしました。
ご参考までに、こちらの演奏も第2番と同じサヴァリッシュ指揮、ロンドンフィルの組み
合わせでございます。
たいへん濃密で、味わい深いブラームスの世界を、ホワイトソースを焦がさないように
かき混ぜ、煮詰めながら聴いていると、ソースの中にまでブラームスの音符が入ってゆく
ような錯覚を覚えるほどでした。
でも、ブラームスは、わたくしがどこで泣くべきか、ちゃんと知っています。
どこで感激の声をあげるかも。
ワルター氏の1番は、思いの外軽やかに過ぎ去ってゆき、何の啓示も与えてはくれませんでした。
あるいは、わたくしにはワルターはまだ早すぎたのかもしれません。
レヴァイン氏の4番は、人生の岐路にたたずみ、どちらの道をゆくべきか考えあぐねている、
志半ばの若者のようでした。「若者よ!もっと深く思いを伝えねば、かの人には届かないのだよ!」
と言って、若者の手を引き、一緒に歩いてあげたくなりました。
んー、やっぱり2番。今日の気分は2番ですね!
ドイツ気質のサヴァリッシュ氏ならではの、ブラームスのリゾート地での心情をよく理解した2番!
以前聴いたレヴァイン氏の2番もよかったのですが、サヴァリッシュ氏には均整の取れた抑制の
上に、聴くものを気持ちよく座らせて酔わせてくれる懐の深さがありました。
まるで、氏の見かけそのもの(失礼!)でございます。
春の盛りに初めて聴いた2番でございましたが、意外と今の季節にもしっくりくるのですね。
新しい発見でした。
ブラームスのおかげで、できあがったマカロニグラタンは、深い味わいでございました。
もう一度2番を聴いて眠ることにいたします。
・・・と、さきほど昇って顔を出した月は、雲に隠れてしまいました。
「月夜のブラームス」は返上しなくてはなりません・・。
さて、次なる挑戦は3番でございます。本腰を入れて探してみましょう。
ブラームスの音符入り♪
蔵王産のモツァレラシュレッドチーズで