わたくしの椅子です。
4年前、家を建てて引っ越す時に、少しばかり奮発して、この椅子を買いました。
当初は、ずっと憧れだったあの有名なハンス・J・ウェグナーのYチェアにするつもりでしたが、
実際にその椅子に座ってみると、まあ、身長154cmのわたくしには、大きすぎる座面、
足が届かない床までの距離、腕の動きを妨げるアームなど、すべてにおいて合わず、
あえなく断念。
デザイン王国デンマークの誇るその椅子も、わたくしには、目で見て楽しむことしか許されない、
近寄り難い存在であることがわかりました。
そして、次なる候補であった、同じデンマークのデザイナー、アルネ・ヤコブセンがデザインした、
この愛嬌あるセブンチェアが、わたくしを快く受け入れてくれ、我が家にやってまいりました。
ここは、わたくしの場所。
食事をする、本を読む、手紙を書く、麻呂達と話す・・。
何気なく繰り返される日々の営みの中に、彼(セブンチェア)がいる。
笑う時はもちろん、泣きたい時はこの上で膝を抱えることだってできる・・。
主張しすぎないデザイン、垢抜けた色合い、彼はわたくしのお気に入りでございます。
9枚の合板が、温度105℃、重さ86トンのプレス機にかけられ、
この完璧までに美しい線が生まれます。