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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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November 5, 2006
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カテゴリ:楽しむは音
午後、「NHK音楽祭」のコンサートをFMでの生放送で聴きました。
今日は音楽祭第2弾。ロジャー・ノリントン指揮、N響での公演でございます。
演目の2曲目がエルガーの「チェロ協奏曲ロ短調op.85」。
ソリストは石坂団十郎さん。歌舞伎役者ではございません。れっきとしたチェリストです。

第1楽章が始まって間もなく「あら??これ、エルガー?エルガーってこんな曲だったかしら・・」
戸惑いを覚えるわたくし・・。デュ・プレの名演、そして昨年のミュンヘン国際コンクールで
第1位になった趙静さんがガラコンサートで弾いた時とは全く違う曲に聞こえてくるのです。
なぜなんだろう、なぜ・・?と思いながらも、曲は進み、あっという間に終楽章。
石坂さんってこんな演奏する方だった・・?解せないわたくし・・。
そして、会場は休憩に。音楽評論家の諸石幸生さんが、いつになく興奮気味で解説を始めました。
「石坂さん、たぶんノリントン氏の指示によるものだと思いますが、ヴィブラートを全くかけない
ピュア・トーンでの演奏をされていましたね。」
ピュア・トーン!
恥ずかしながら、初めて聞く言葉です。諸石さんの解説によると、ロジャー・ノリントン氏は、
古楽への造詣が大変深く、今日の演目は全てヴィブラートをかけない演奏になるとのこと。
何故なら、「ヴィブラートとは、20世紀に入って、1920~30年頃から用いられるようになった奏法
なのであって、本日の演目、モーツァルトにしても、エルガーにしても、ヴィブラートをかけるのは
ふさわしくない。ヴィブラートが流行り始める以前の曲を、作曲された時代の人々が聴いたものと
同じ演奏で現代の聴衆に聴いてほしい」との、ノリントン氏の強い意向によるのだそうです。
ヴィブラートをかけない音。それが、「ピュア・トーン」。
謎が解けました。石坂さんの音が、なんだか伸びやかでない気がしたのは、そのためだったの
ですね。そして、それに寄り添うオーケストラも然り。
ヴィブラートがあるのとないのとでは、全く別の曲に聞こえるほど、表情も、雰囲気も、音の広がりも
違う。そういわれてみると、あの深刻でどうしようもない曲が、とてもほのぼの、おっとりとした曲に
聞こえてくる演奏だったわ・・と思えてくるのでした。ある意味、新鮮なエルガーでございました。
石坂さんは、アンコールにペンデレツキの「ディヴェルティメント」から、「セレナータ」を演奏しました。
これは、彼の師であった故B.ペルガメンシコフ氏のために書かれた曲だとのことで、現代曲
ながら、人々をグッと惹きこむ魔力に満ちた曲。こちらも熱演でございました。

ここで、石坂さんのプロフィールを少し。お名前からは想像もつかない甘いマスクの彼。
1979年、ドイツのボンで、日本人のお父様、ドイツ人のお母様の間に生まれ、4歳からチェロを
始められました。その後、世界の大きなコンクールでいくつもの優勝を手にしていますが、
2001年のミュンヘン国際コンクールでの優勝で、さらに名声を博し、世界の檜舞台へと
躍り出ました。
華々しい活躍をされている彼ですが、まだ現在も学生さんだそうです。今後ますますの飛躍が
楽しみな大器でございます。
使用楽器は、師であるペルガメンシコフ氏が使っていたW.シュナーベル作1997年製のもの、
ならびに、1696年製ストラディバリ「ロード・アイレスフォード」。
こちらは、ヤーノシュ・シュタルケルが全盛期の頃に使っていた楽器だそうです。
本日の公演では、このストラドを用いたようです。

ピュア・トーン。しっかり覚えておかなくちゃ。





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Last updated  November 6, 2006 05:47:29 PM
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