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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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December 29, 2006
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カテゴリ:楽しむは音

本日、BS-2で、N響のアメリカツァーの番組が放送され、録画しながら観ることにしました。
全10回の演奏会のうちの、10月14日の、ロサンゼルス、ウォルトディズニー・コンサートホール
での演奏会。
このアメリカツァーには、ピアニストのエレーヌ・グリモーが同行いたしました。
共演の曲はブラームスのピアノ協奏曲第1番。指揮はもちろん、アシュケナージ氏。

公演前のひととき、彼女は静かに語ります。
「演奏者と聴き手が互いに敬意を払い、認め合うことで両者には一体感が生まれます。」
さあ、そう語る彼女、どんな世界を聴かせてくれるのでしょうか。

第1楽章。ドラマティックな管弦楽の提示部。皆さん、並々ならぬ集中力。
独奏者のグリモーが、気持ちよく入ってこられるように誘(いざな)っているかのようでございます。
提示部がppになり、満を持して、グリモーのソロが始まりました。
きょうも彼女は冴えています。ひとことで言うなら、パワフル&デリケート。
ppとffの明確で鮮やかな使い分け。
若きブラームスの苦悩と、そこに見え隠れするわずかの光(喜びとも呼べる)を巧みに表現して
聴かせてくれます。たびたび出現する例の長い長いトリルの連打も見事。
中間部、離陸のために、徐々に速度を上げる航空機のような推進力をオケと共に見せてくれます。
おお、チェロの藤森亮一さん、今日もキマッています。大好きな大宮臨太郎さん、今日はちょっと
下がった位置。彼の甘い音色も
この中に溶けこんでいるのですね・・。
うれしいですね、こんな素晴らしい共演を居ながらにして拝見できるなんて・・。
管の皆さんもよく鳴っています。素晴らしい。
第1楽章終了後、なんと聴衆から短い拍手が。入魂のグリモーへの賞賛でしょう。
彼女は、爽やかなスマイルでアシュケナージ氏と見合います。こんな自然な仕草が、実に実に
エレガント。
さすがはフランス人。日本人がどんなに真似しようとしてもこのエレガンスは近づけるものでは
ございません。

第2楽章。霧の中を漂うような、静かで幻想的なグリモーのソロ。
次第にその霧が晴れ、全てが目の前に明らかにされる時、ブラームスはそこに何を見るのでしょう。
2本のクラリネットとピアノ、そして2本のオーボエとピアノの、それぞれの三重奏の美しいこと。
あ、彼女、5の指で弾くところを、あえてppを意識しながらも1で弾いてる。これは、映像ならではの
興味深い発見でございました。
嗚呼、再び霧が、あたりを覆います。
そして、管パートの音の結集の中、上降するピアノ、・・次の譜は美しいトリル。
まだ夢の中にいるブラームスは、起きる気配がありません。

第3楽章。グリモー、今まで抑えていた感情もパワーも、ここへ来て全開!!
自らもメロディを口ずさんでいるように見えます。激しい左手の動き。
嗚呼、この弦パートの深みのある和音の響き、ちょっとかしこまったところもN響らしいカラーです。
そのカラーにきれいに染まりながらも、それでもきちんと自己主張も忘れないグリモーの音。
オケも応え、反発し、ふたたび融合する。そんな、一期一会の貴重なブラームス!
最後に待っているカデンツァ。ここも彼女はブラームスに思いを寄せるが如く、誠実に、そして
力強くも優雅に決めました。
苦悩のトリルが喜びのトリルに変わり、大団円のフィナーレ!
さすがはアメリカ、ロサンゼルス!西海岸!くだけています。まずは「ブラヴォー」の代わりに
「オオーッ!!」というような叫び声が飛び、続いて「ブラヴォー!」の嵐。
嗚呼、グリモーのブラームスの世界、堪能いたしました。
彼女の言ったとおり、わたくしは彼女にますますの尊敬の念を抱きました。

これは、かなり話題になりそうな気配の公演ですよ、皆さま!
それとも、情報に疎いのはわたくしだけで、既に音楽ファンや評論家の間では高い評価や支持を
獲得しているのかもしれません。
大大満足のブラームスでございました。

実は、先日少しお話しした、別の1番での日記を書く予定があったのですが、今日の放送の内容が
あまりにもよかったので、急遽こちらを先にご紹介することと相成りました。
「もうひとつの1番は」、また後日のお楽しみ・・ということにいたします。






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Last updated  December 30, 2006 12:09:01 AM
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