|
テーマ:お勧めの本(7368)
カテゴリ:My Favorites・・
所用で病院へ。(いえ、具合が悪かったわけではございませんのでご安心くださいませ。)
正月明けの初診療日、外来は長く待たされそうだと思い、家の書棚から文庫本を数冊、 持参いたしました。 その中の1冊、武田百合子の「富士日記」。 10数年前、上、中、下巻を買おうと書店へ行ったところ、上巻だけ品切れで、なんとなく、 当時仲のよかった同僚に頼みこんで、別の書店で「買わせて」しまった思い出の1冊。 以来、ふと彼女の潔さが必要な時に手にとってはナイトキャップ代わりに読んでおります。 そして、今日はその上巻に、病院にお供してもらいました。 富士山麓に著者夫婦が建てた山荘の四季折々の姿、地元の人との触れ合い、痛快で、 リズミカルで、歯に衣着せぬ文章が綴られた昭和39年からの日記。 我々ブログを書く者には、見習いたいような視点がいっぱいでございます。 「三貫目」、「ガソリン千七百円」など、時代を感じさせる言葉の数々。 上、中、下巻と、時代をくだりながら日記は続きます。 文中に何度も登場する「中央公論の村松さん」とは、現代の日本文壇を代表するひとり、 村松友視氏のこと。一サラリーマンであった時代の、彼の素朴な一面が見られるのも魅力。 嗚呼、この本は今のわたくしに不可欠なもの。またしばらくの間、ナイトキャップ代わりに 読むことにしましょう。 ついでながら、村松氏の武田夫妻への、とりわけ百合子さんへの思い入れの強さは、 彼の著書「百合子さんは何色」からもうかがい知ることができます。 彼女へのレクイエムであるこの1冊も、合わせて是非。 病院の待ち時間も短く感じること請け合いでございます。 富士日記上巻 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 5, 2007 08:45:41 PM
[My Favorites・・] カテゴリの最新記事
|