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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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March 3, 2007
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カテゴリ:楽しむは音

ブラームスの交響曲の中で、唯一未聴だった第3番を、スウィトナー氏の指揮で観るという
幸せに浴す時間を持つことができました。
「N響80周年」を記念して先日放送された番組。
まずは、第3番の練習風景から始まります。
1989年11月、N響のメンバーを前に、スウィトナー氏はドイツ語で、
「ここの第2主題はすぐにドルチェで。Eのところはヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲のように
いつも同じテンポではなく、♪ターリーラーターリー(ヴァイオリン協奏曲の冒頭部を歌う)、
・・このように静かに・・、♪ランッタパーンッパ、ピンッパパーン (提示部の、調子が変わる
ところを歌う)・・嵐のように・・、全く自由ではないけれど同じテンポだけではありません。」
と、いきなりわたくしの心を釘付けにする、ブラームスのヴァイオリン協奏曲との対比によって
曲の捉え方の解説が始まりました。
「とても響きはきれいです。でもブラームスは大阪的でなく北海道的なのです。つまり北ヨー
ロッパの性格ですから時々固く演奏してください」
と、日本のオーケストラに向かって、実にわかりやすい、実際の地名を例に挙げながらの
解説に心を砕きます。ここで既に、スウィトナー氏の懐の深さが伝わってきます。
これは、期待してもよろしいのでしょうか。
(嗚呼、それにしても、武藤さん、根津さん、大林さんのお若いこと!)

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ(おお、これがかの番組で物議をかもした「荒れるよ、コンブ漁」!)
嗚呼、この揺らぎ、好きです。クラリネット、フルートのゆるやかな音のあとに入る弦の分厚い
音の重なり。これはもう、「一目惚れ」ならぬ「一耳惚れ」でございます。
たおやかで、なおかつ大きな船に乗ったような音楽。嗚呼、また、うねりがやってきます。
スウィトナーさん、これがあなたの欲しかった音なのですね。
管楽器群と弦とが、それぞれの領分をわきまえた、ブラームスらしいオーケストレーション。
最後はコントラバスが存在感をアピールして楽章を閉じました。

第2楽章:アンダンテ
2本のクラリネット、そしてフルートが綾織りを成す音の連なり。
そんな穏やかさの中に、時折見え隠れするちいさな悲しみこそ、ブラームスの真骨頂。
もう、夢見るクララのような気持ちでございます。「あなたのためにこの曲を作りました」と
ブラームス氏に言われたら「まあ、そうですの!光栄ですわ、ヨハネス!」と、手を取り合って
わたくしもクララになりきってしまうことでしょう。
弦のユニゾンのなんて美しい響き。この楽章は、生で聴いたらきっと気持ちよくて眠ってしま
われる方が続出することでしょうね。

第3楽章:ポーコ・アレグレット
あら?なんか違う。よく聴くこの音楽ですが、「よく聴く」時とちょっと印象が違うのです。
なぜでしょう。テンポでしょうか。それとも・・。
これ・・・、情に流されずに極めてストイックに演奏しているように聞こえてくるのは、わたくし
だけなのでしょうか。ツィマーマンのピアノのように、適度に、抑制を利かせているというか・・。
ホルンの哀愁漂う旋律も、きっと他の演奏では違うはず・・。
・・と思っていたら、最後になって「来ました」!弦が「待っていました」とばかりに歌う歌う!
すべて、スウィトナー氏の計算によるものなのですね。

第4楽章:アレグロ
これは、ほとばしる感情の滾り!ヴァイオリンが歌い、チェロが唸る!
激しい弦の動きがそのまま、封印していたブラームスの思いを代弁しているかのようです。
そう、封印は解けたのです!
大きな振りでオケを奮い立たせるスウィトナー氏。オケもマエストロに渾身の音で応えます。
・・と思っていたら、またしても迷うのですか、ブラームスよ。いきなりおとなしくなってしまって。
・・これは?フィナーレに向けてギリギリのところで感情を抑えた彼は、何を言いたかったの
でしょう。静かに静かに終わった第4楽章。

「意外性!」それがわたくしにとっての第3番の印象でございます。
でも、とても惹き付けられる曲でした。
皆様お勧めの3番の演奏がございましたら、是非お教えくださいませ。
今回は、スウィトナー氏のお人柄がよく出た、たいへん感銘を受けたN響の演奏でございました。






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Last updated  March 4, 2007 12:00:43 AM
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