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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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March 15, 2007
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カテゴリ:楽しむは音

少し前に観た「プロムス2006」最終日の録画から。
2006年9月9日、ロンドンはロイヤルアルバートホール、BBC交響楽団の演奏。
「ラスト・ナイト」の指揮者は、マーク・エルダーで、この公演にはヴァイオリニストの
ヴィクトリア・ムローヴァが出演。
プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番を演奏しました。
ムローヴァは、漁師の網のような黒いものをあしらった赤いトップと黒のパンツで登場。
使用楽器は1723年製ストラド「ジュールズ・フォーク」。

第1楽章の冒頭部のソロを、余裕の表情で弾き始めました。
こなれた演奏です。これまで何人ものこの曲を聴いてきましたが、フレージングのとり方、曲想の
捉え方、すべてが斬新で、全く違う曲のように聞こえてきます。
10歳かそこらで、既にこの曲を弾いていたらしいのですが、なぜかステージには譜面台が・・?
彼女は、ヴァイオリニストというよりは、筋肉隆々のアスリートのよう。
短距離ではなく、かといってマラソンでもない。10,000メートルを与えられた走者のようです。
10,000メートルという、持久力の保持、ペース配分、他者との駆け引きがいちばん難しいと
いわれる競技。・・・そんな印象を持った彼女の演奏。
第2楽章の輝かしいこと!
ここまでキラキラとこの楽章を歌う人も珍しい。
たいていのソリストは、ここはしっとりと情感をこめて弾くところ。
おお、なんと!第2楽章が終わったところで早くも会場から拍手が。ご本人、どう思われたこと
でしょうね。「まだあたしは走っているのよ!」とでも言いたげ。
第3楽章。ここで初めて彼女はノリノリの様子で、休符時には身体を揺すり、首を振ります。
ヴァイオリンの世界に君臨する女王の貫禄で弾き終えました。
そう、息切れすることもなく、楽々と10,000メートルを走り終えたのです。
「どう?ソヴィエトの音楽はソヴィエトの人間のあたしじゃなくては語れないのよ。」と、自信の
眼差しを聴衆に向けました。
恐れ入りました。
チャイコフスキーコンクールで優勝して20数年。
されども、その技術、強靭な肉体は健在なのでございました。

さて、特筆すべきは、この「ラスト・ナイト」にムローヴァと共に出演したバリトン歌手。
彼の名はドミートリ・ホロストフスキー。
彼が登場するなり、わたくし「カーーーッコいいっ!」と叫んでおりました。
長い髪の頃の彼の映像を観ましたが、このプロムスの時のように短い髪の方が若々しくて
よく似合います。
そして、なんという吸引力!大柄で胸板の厚い、身体全てを楽器にして朗々と歌い上げる騎士よ!
「カリスマ」とは、彼のためにある言葉。
帝政ロシアにこんな皇帝がいたらよかったのに・・と思ってしまうような、惚れ惚れする圧倒的な
存在感でございます!
休憩後、カルメンの「諸君の乾杯を喜んで受けよう」(闘牛士の歌)の前奏が流れる中、満を持して、
再び現れた彼に、満場の観客から、拍手と共に、喜びの叫びともとれる熱狂的な歓声が!

プロムスのラストナイト、いいです!
テレビで観ている者にさえも伝わってくるこの高揚感、聴衆のお祭り気分(そう!まさしくお
祭りなの
です)と一体感!客席のあちこちで、ユニオン・ジャック、ロシア、イングランドなどの旗が振られ、
紙飛行機まで飛んでいます!

約2ヶ月にも亘るプロムスの千秋楽を飾るにふさわしい、熱狂と歓喜の一夜を味わうことが
でき、わたくしもその熱気に酔ったひとときでございました。






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Last updated  March 17, 2007 04:04:57 PM
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