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La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

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October 13, 2007
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カテゴリ:こころとからだ
実家の母から電話。髪染めの依頼。

2~3ヶ月に一度、母の髪を、市販の薬剤で染める。

病気をしても、古希を過ぎても、きちんと化粧をし、髪を染める気持ちを失わない母を

とても可愛いらしく思う。

以前より色白になったのも、今使っている化粧品の恩恵だとうれしそうに言う。

同じ女性としては、ちょっぴり、くやしい。

女のきょうだいも子どももいない私にとって、母は姉であり、妹であり、子どもであり、

そして永遠のライバルなのだ。


母の髪を梳く。

午後のやさしい障子越しの光の中。

すっかり薄くなった髪。小さくなった背中。

病気になってから、何をするにもスローな動作になった。

洗面台のシャワーで流すのにも時間がかかり、たまらず途中から手を貸す。

母の髪を洗う。

母の小さな頭を、やさしく、心をこめて洗う。

私をこの世に生んでくれた人。たくさんのものを与えてくれた人。

私に返せるものは、何があるのだろうか。

そんなことを思いながら。


帰り際、隣りの小母さんが生け垣を剪定しているのに出くわす。

「通ってもいいですか?」

「まああっ、誰かと思ったらかのんちゃん!相変わらずスタイルが良くてスマートで!

旦那さんはハンサムだし。うちの子なんて・・・。」

と、何年ぶりかで話しかけてきた。

車の窓から顔を突っ込み、私の足下まで不躾に眺め回して。

この方は実家はもちろん、近隣の家々に多大な心労を与えている「迷惑オバサン」なのだ。

「じゃ、小母ちゃん、またね」

愛想笑いでかわし、通り過ぎる。


ツィマーマンが、BPO、ラトルと弾くブラームスを聴きながら帰路に着く。

この珠玉の作品は、百年経った後も、こうして田舎の一介の主婦によって聴かれるのだろう。

百年経った後も、人々の、「母」を思う気持ちにも、変わりがありませんように。

・・瞑想へと誘う第2楽章。



さあ、家に帰ろう。皆が待ってる。

気持ちを切り替えるため、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のCDをデッキに入れた。





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Last updated  October 16, 2007 06:13:20 AM
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