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今日もまた、演奏会に行くついでに、百貨店で行われている展覧会へと足を運びました。
そこは、海と遺跡のある街。 「東山魁夷大版画展」。 今年は、東山画伯の生誕100周年を記念し、東京でも大きな催しがあるようですが、こちらの 企画展もそう銘打っています。東山画伯をこよなく愛するひとりとして、これは拝見しなければ。 「展示・即売」とうたってはいるものの、もちろん「素見し」半分で見始めた私。 ところが、すぐに1枚の絵の前で、立ち尽くしてしまったのです! それは、スカンジナビア半島を含めた、北欧諸国の地図を描いたリトグラフでした。 大好きな北欧です、実際の正確な地図と少しくらい違っていても、すぐにそれとわかりました。 1964年制作。晩年の数々の傑作には見られない、ホッと和むような素朴さを感じさせる 色使いと描写。その、少しゆがんでいる感じの構図も、画伯のユーモア性の表れでしょう。 それに、ちゃんと、北極圏の線まで入っています。しかも、通し番号の中でも若い方の番号で、 原版の木目が写っています。 (ご参考までに:この絵は、画伯の作品集「ビブリオテカ」の表紙に使われています) まずい。非常にまずい。心が「惹かれモード」になっています。 「これはきっと運命の巡り合わせよ!」 「ここで手に入れないと後悔するわよ!」 「他のリトグラフに比べたら信じられないくらいお値打ちの値段じゃない!」 「ほら、家の玄関のあの壁にちょうどいいわよ!」 「北欧が好きでしょう?画伯が好きでしょう?手に入れない理由がどこにあるの?」 「これは、絶対に私のためのものよ!」 心の中の、もうひとりの私が、甘い言葉で盛んに誘いかけます。 確かに、この年代の画伯の作品は、今ではあまり出回っていないらしい。 運命の出逢いかもしれない。 中でも、初期の貴重ないくつかの作品を、リトグラフではあれ、ここで拝見できたことは 幸せな出会いとなりました。 「もし、何でしたら、こちらのお値段から・・・」 小さく囁く画商の方の声。。(←なんと言ったかはご想像におまかせします・笑) しかし、私は決断しました。今は、「時期」ではない、と。 「お取り置きすることも可能でございますが・・お名前を」 「いいえ、こういうものはご縁のものですので・・」 そう言い置き(自分に言い聞かせていたのかも)、丁重にご挨拶をして会場をあとにしました。 後ろ髪を引かれたことは確かでしたが・・・。 そう、「ご縁」があれば、きっとまた私の目の前に、何の予告もなく現れてくれることでしょう。 その時こそが「時期」なのです。 絵であれ、音楽であれ、芸術の高みを極めた方々への憧れは尽きません。 しかし、それが乗じて煩悩の域になっては、あまりに愚かしいこと。 清廉潔白に生きてゆくことこそが、「私」なのだとあらためて気づいた一日でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 2, 2008 05:15:38 PM
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