183188 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

La Vie・音楽とともに ~標高1,000mの高原だより~

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Calendar

Category

Favorite Blog

過ごしやすい一日です New! つれりんさん

ドキュメンタリ:Goi… ピカルディの三度THさん

シャンソン・フラン… TanakaTomokoさん

いつも心に太陽を! たまぴこ0608さん
本読みのひとりごと biscuit5750さん
きれいなものはみん… バーソロミューさん
May 14, 2008
XML
カテゴリ:楽しむは音
~ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15への誘い~


シリーズ第2弾は、クラウディオ・アラウの演奏盤をご紹介。

ジュリーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団による共演。

1960年、今からもう50年近く前の録音です。

当時アラウ氏は57歳。円熟の極みに達した彼のブラームスは、聴いていると、深い懐に抱かれて

いるような、なんだかとても安心した気持ちになってくるのです。

そう、これは、とても「男気」、「男前」の、日本の理想のお父さんのようなブラームス!


第1楽章、ジュリーニ特有のゆったり落ち着いたテンポで始まります。

存在感のある、太く頼もしい金管パートの響き。これも、お父さんみたい。

ソロの導入部、時代を感じさせる低いピッチのピアノ(ベーゼンドルファー??わかりませんが)は、

聴く者に、「ぬくもり」を感じさせます。そう、短調の「もの悲しさ」よりも。これは不思議な感覚です。

楽章中、1stヴァイオリンの第一プルトとのコラヴォレーションが2箇所、調性を変えて出てきますが、

ここをこれほどまでに美しく息を合わせ、重ねられる演奏は、ほかにありません。


第2楽章は、人生の岐路で躓いて悩んでいる者を、やさしく慰めているようです。

やっぱりお父さんだ。

俗に「クララへの、祈りにも似た思慕」と言われる3声による静かな旋律、これも何回か調を変えて

現れますが、殊に楽章の終息へ向けた86から94小節では、「大丈夫、道はきっと開けるよ」と、

アラウお父さんは諭してくれます。


第3楽章、左手がよく鳴るピアノ。オーケストラは、終始控えめに寄り添います。

66小節からは、人生への讃歌を力強く歌い始めるアラウ。

統率のとれたオーケストラは、ジュリーニの伏兵。彼らは、壮大なフーガの部分も、大袈裟にならずに

でも決してぶっきらぼうでもない、ちょうどよい「さじ加減」で。

これがジュリーニの「武士道」かな・・。

「幻想的に」と表記のあるカデンツァは、たっぷりとあたたかな情感をこめて・・。


やっぱり、このブラームス、受ける印象は、日本のお父さん!真面目で堅実で家族思いの。

どっしりと、「普遍的な父性」に溢れたブラームスを、あなたもどうぞ。


アラウといえば、以前も書きましたが、私にとっては幻のピアニスト。

1988年だったか、89年の、オーチャードホールでのリサイタルのチケットを買い、私にとっては

初めてのアラウの演奏会だったのですが、「演奏者急病につきキャンセル」となり、以後、再び彼が

日本の土を踏むことはありませんでした。

でも、実は、病気は本人ではなく、彼の奥様で、その後間もなく奥様は亡くなられ、彼自身もまるで

後を追うように亡くなってしまった・・・という話を、ずっと後になって知ったのでした。


人生には、「運命の出会い」もあれば、「運命のすれ違い」もあるのですね。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  May 14, 2008 09:31:17 PM
[楽しむは音] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X