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May 25, 2008
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カテゴリ:楽しむは音
~ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15への誘い~

シリーズ第3弾は、グリモーのピアノ、ザンデルリンク指揮、シュターツカペレ・ベルリン盤。

見た目(容姿)の印象と、その演奏から受ける印象が、彼女ほどギャップのある演奏家も珍しい

かもしれませんね。

皆さまよくご存知のとおり、可憐なお姫様のような顔立ちのピアニスト、エレーヌ・グリモー。

けれど、そのピアノは、とにかくパワフル&ボンバー!

魂の底から湧き上がる感情すべてを「音」に託すことで、自らを肯定しているようにも感じられます。


第1楽章:ティンパニが大きく鳴り響き、重々しくたっぷりとったテンポで始まる第1楽章は、

「これぞブラームス!」と思わせる厚みを帯びています。

ザンデルリンク、紳士然とオケを統括していて上手いですね。

やがてソロの導入部、グリモーは静かに入ってゆきます。

しかし、すぐに110小節のダブルトリルから弾(はじ)けます!

157小節からの独奏部では、ややしっとりと。ちょっと艶めいて。

老匠は、全体的に、彼女に近づいたり遠のいたりしながらの絶妙な距離感を駆使してオーケストラを

合わせます。

注意深く聴いていると、グリモーは、430小節内第3音の「#ド」を、「ド」と弾き、同じ小節内で

この音が再び出てくる時には「#ド」で弾いているのが面白い。これは何か意図があってのこと

なのか、そんなことも考えながら聴くのも一興。


第2楽章:白い白い霧の中にいるような、不思議と「あきらめ」にも似た感情をよび起こすピアノの

音色で始まる第2楽章。

幼い頃、「自分が周りのどこにも属さない」思いに苛まれ、孤独感を募らせていったグリモー。

そんな記憶のすべてが、この楽章に凝縮されているように感じるのは私だけでしょうか。

先の見えない不安と、あきらめの連続。

でも、その彼女にある日、光が差します。それは、ピアノとの出会いでした。


21小節からグリモーは、抑えていた感情を次第に次第に外へと出してゆき、それは50小節の

5連符でピークに達します。

「私の人生はここから変わるのよ」と、自伝を語っているようです。

71小節から、第1主題の再現になりますが、もう彼女は孤独ではありません。

カゴから解き放たれ、自由に飛んで、歌い、舞う、美しい小鳥です。

この楽章の明暗を、こんなに鮮やかに弾けるのは、辛い少女時代があってのことなのかしら・・と

勝手に想像してしまいます。

91小節から楽章の終わりまでのソロは、霧の湿度を含んでさらにしっとりと、グリモーらしい

美しさに満ちています。ここは、なんとなくフランスの香りがする数小節です。


第3楽章:出だしから爆裂モードのピアノ!もう~、走る走る!

そんなに走っても大丈夫!?と思うけれど、前のめりにならないところはさすが。

きちんとコントロールができて、かつ、渾身の力強い演奏です!

「どこまでもどこまでもあなたについてゆきます!」と思いたくなるピアノですねぇ。

一昨年のN響とのアメリカ・ツアーでこの曲を弾いた時のことを思い出します。

あれを生で聴けた人が本当に羨ましかった!

絶対好きになりますよね、こんなブラームスを目の前で、弾いて、聴かせて、見せて(魅せて)

くれちゃったら。。。

フーガが終わったあとの、キラキラしたピアノの音も素敵。

この録音は、いろいろな表情のグリモーに出会える演奏です。

そのグリモー、あと10日足らずで来日しますね!

ももこさん!長かったですよね、この1年半!

本当~~~に、楽しみですね!!!

****

個人的に、この協奏曲の中でいちばん美しいと感じる和声が、第2楽章にあります。

それは、19~21小節の、弦パートの、ピアノへの短く静かな相づちの部分。

四分音符でいうとたった9個分。

ここの和声が、震えが来るほど好きです。

ブラームスの、誰にも聞こえない独り言のようで・・・。

特に、このオケはここが素晴らしかった。



さて、初のシリーズでお送りしております「ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15」。

次回はいよいよ最終回を迎えます。

さあ!大トリを飾るソリストは誰か!!

あのヒト??このヒト??女性??男性??

ふふふ、皆さまの予想も是非お聞かせくださいね。

楽しみにしておりま~す♪





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Last updated  May 25, 2008 05:00:04 PM
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