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テーマ:好きなクラシック(2317)
カテゴリ:楽しむは音
若い頃、別の病院で検査をしたことがあるので、ある程度どんな感じかはわかっているつもりでした。 MRIは、磁気の力によって身体の内部、骨、筋肉、内臓、神経などの細部に至る組織を克明に 映し出すための大型の医療装置で、装置の手前のベッドに横になると、そのままスライドして 大きな筒状の装置の中に吸い込まれ、じっとおとなしくしていること数十分、「カンカン」「コンコン」 と、こだまのような音が筒の中に響いたり止まったり・・・、それは摩訶不思議な空間。 そのうち「ハイ終わりです」と、ベッドが引き出されて検査終了となります。 今回、予約時に病院からもらった説明書には「マイクで外部と会話ができます。また、ヘッドホンで 音楽を聴くこともできます。お好きなCDをお持ちください。」 と書かれていました。「まあ、進歩したのね~」と驚きながらも、「何のCDを持っていこうかしら・・」 と、いそいそと考えはじめました。 あまり速いテンポや元気のいい曲は、身体が自然に動いてしまいそうだから、ダメね~、などなどと。 そして選んだのが、このブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲のCD。 1989年、イツァーク・パールマン&ダニエル・バレンボイムによる、シカゴでのライヴ盤。 聴衆のあたたかい拍手に迎えられたのち、静かに始まる「雨の歌」。 大好きな録音です。 さて、当日。専用の検査着に着替え、ベッドに身体を横たえたあと、飛行機の機内で使うような形の ヘッドホンを耳にあてがわれ・・・ん?? 「あれ?もう曲が始まっているじゃん、中に入ってからONしてくれると思ったのに。ま、いいか」。 いざ、白い筒の中へ。 すると、間もなく、ヘッドホンからの優美なブラームスをかき消すように聞こえてきたのは、ガンガン ガン、ガガガガガ、バリバリバリ、ドッカンドッカンという大音響と、ガタガタと身体の下から 伝わってくる落ち着きのない振動。 ここは、建設工事現場だったの!?しかも、突貫工事さながらの! ああ、このすさまじいほどの騒音で、パールマンもバレンボイムもどこかへ行ってしまいました。 たまに騒音が途切れた時に、かすかに聞こえるヴァイオリンの音で「ああ、ここは第2楽章だぁ・・」 と、辛うじてわかる程度。 そんな状態で「終わりましたよ~」と検査終了が告げられたのは、2番のヴァイオリン・ソナタの 第1楽章の途中でした。 ああ、何のためにCD持参で行ったのやら・・ 今のMRIって、こんなにうるさいの!?昔は違ったのに。 それとも、昔より性能が上がった分、音や振動が大きくなったの!? 多くの???を抱えたまま自分の服に着替え、X線技師(友人)に「どうだった~?」などと 聞かれていると、別の技師の方が検査票とCDを持ってきてくれました。 「何のCD?」と、ジャケットをのぞき込む彼女。 「パールマンのブラームス。でもね、装置の中が工事現場みたいで、ほとんど聞こえなかったの~。」 「へえ~、そんなにうるさいんだ~。」 彼女はまだ体験したことがないようです。 皆さまはいかがですか? MRIはもちろん、診療、医療機器でのいろいろな体験談、お待ちしておりま~す。 ・・というわけで、今日は先日のリベンジも含めて、ひとり静かにこのCDに浸っております。 ブラームスと共に、穏やかな「光の春」を満喫している昼下がりです。 <補足:検査の結果自体は問題はありませんでしたので、皆さまどうぞご心配なく~。> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 7, 2009 02:45:50 PM
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