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カテゴリ:書評、感想
村上春樹著『海辺のカフカ』を読了。
読んでいてこんなことを書くのもおかしいが、ハルキはあまり好きではない。ただ、現代の作家であって読みやすく、休んで弛んだ脳みそのリハビリにはいいかなと思い、図書館で借りて読んだ。 あらすじは非常にまとめにくい。 一言でいえば、主人公・田村カフカという15歳の少年が精神的に成長しタフになってゆく過程を描いた物語。そしてもう一人の主人公ともいえる、巻き込まれてしまったナカタさんが、ナカタさんによって巻き込まれてしまった星野青年とともにその役目を果たす物語。 以前、図書館で『アフターダーク』を借りて読んだ時は『ノルウェイの森』とかなり違う印象を受けた。作品の長さのせいかは知らないが、「不思議な現象」というのがよく出てくるようになっていたからだ。当たり前の日常に自然に非日常を織り込んでゆく、これが今の彼のスタイルなのだろうかと思って、今回この作品を読んだが、今回もそのような感じを受けた。 なるほど、確かに現代に多い恋愛小説とは違う。 親殺し、母親と交わるというのはギリシャ悲劇の定番らしい。オイディプス王もそれに属する。そのテーマが使われていた。 音楽に関する記述はわからないところが多いが、面白い。クラシック好きの人はこう感じるから愛好するんだなというのを知ることができる。 家出少年の話で漱石の『坑夫』を登場させていた。この作品は読んだことがない。自分も主人公田村少年を見習って全集読んでみようかな。 場面場面のセリフが特徴的で面白い。 図書館の近くで部屋を借りて生きたい、図書館の中で生活する、本好きの人間なら必ず抱く願望だろう。なんだか、読者層を想定したようにこの手の言葉を織り交ぜてくる。 考えてみれば、読者のためにその人が喜びそうな内容を書いている気がする。その裏には「あんた達、一般人の読みたいものなどわかりきっている、こういうものだろう」という意識が見え隠れし、頭の良さが鼻につく。確かに、頭は悪くない。だが、キザは嫌いだ。その裏には嫉妬でもあるのかな。所詮、自分は凡庸なのだから。 そのほかにも表題の一部になっているカフカのこと、カフカがカラスを意味することは初めて知った。また子供のころ『変身』を読もうと思ったが、いまいちで最後まで読まなかった。短い作品なので読んでみよう。 世界には科学の知りえない非日常が存在している。作者はどうやらそういう立場らしい。 世界的は彼は非常に人気のある作家だ。留学時、中国でもブームだったこともあり、彼の作品を書店で見かけないことはなかった。 でも読んどいて失礼だが彼の作品は好きになれない。 そんなことを感じた。 海辺のカフカ(上巻) 海辺のカフカ(下巻) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/08/21 08:14:08 PM
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