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カテゴリ:書評、感想
誉田哲也著『武士道シックスティーン』を一気読み。
気になってはいたのだが、単行本はやはり高くて手が出せず、文庫版になるまで待った。 よせばいいのに…。体調も優れず、むしろ本格的に悪い。鼻だらだらだし、匂いもなく、熱っぽい。 今日の午後には今期の論文の経過報告が控えている。 しかし一気読みしてしまった。 ということは作家に力があるということだ。 私が剣道経験者で高校の時の思い出に浸っていたということを差し引いても。 内容は修羅?のような姿勢でとがった剣道をしている磯山香織と柔らかさをもった剣道をする甲本(西荻)早苗が主人公の青春小説。 あとは省略。展開も読みやすいし、映画も公開されていたらしいので。 でも小説で読んで良かったと思う。 浮かんできたのは、母校の剣道場であり、昔の剣道部の仲間たちであり、がむしゃらにやっていたあの頃の感情を思い出した。 そう、あの時もがむしゃらだった。そしてやはりそれを支えていたのは彼女達と同じ感情。 剣道が好きだった、という心。 私は磯山や西荻のように全国区に出るような選手ではなく、弱小剣道部だったけれども、必死だった。 あのころもやはり自分はセンスがなくて、あるのは勢いだけ。 小学生のころは兄貴に追いつきたい一心でやっていたし、 中学のころ出来なかったせいか、高校ではまったく勝てない状態が一年ぐらい続いた。 この二人のように技も力もないので、とにかく乱戦に持ち込む。そんな泥臭い剣道だった。 でも、二年の新人戦、四月の大会で勝てた時は本当にうれしかった。 今思えばかなり勝ち負けにこだわっていたように思う。 でも楽しんでいる面もあった。 大学で続けたかったが、またあのギャップを埋めるのには…、と要するにしり込みしてしまった。 あのときと同じだ。 好きなのにも関わらず、この先続く苦難にしり込みしている。 そうじゃないだろう。 どうしても研究がやりたい、だから大学に戻ってきたんだろう。 学部生から教職の授業のディスカッションで気持ち悪がられても、嫌がられても、 それはどうでもいいことなんだ。 体が風邪を引いているということも、どうでもいい。 自分は研究が好きで戻り、この道を選んだんだ。 それを忘れちゃいけない。 無論、どんな世界においても勝敗はつきまとう。 そこは忘れてはいけない。 けれども、自分の原点である純粋に知らないことを知ろうとする知的好奇心。 学究心というべきか。 それを忘れちゃいけない。 高学歴ワーキングプアになったとしても、 その気持ちは捨てちゃいけない。 また自分を支えてくれている人がいることも、 忘れちゃいけない。 その人達に報いるためにも、 自暴自棄になってはいけない。 負けないことだ。 見失わず、目の前のことに最善を尽くそう。 【中古】文庫 武士道シックスティーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/10/15 04:59:15 AM
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