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テーマ:介護・看護・喪失(5298)
カテゴリ:人生
今日は友人に会いに行きました。その友人は元は看護師をしていた70歳後半になるRさんで、ホステル(高齢者自立ホーム)に移るまでは近所に1人暮らしをしていました。
そのホステルは私が働き始めた一つのナーシングホームに併設されているホステルで、仕事先をここに選んだ理由の一つがRさんに会えるということでもありました。 Rさんは数年前に夫を亡くし、子供がいないためしばらく1人暮らしをしていましたが、物忘れがひどくなり1人では暮らせないということで、ホステルに入居しました。 私がオーストラリアに来た頃からの知り合いで、私のつたない英語を嫌な顔もせずにこにこと一生懸命聞いてくれるので、私はRさんと話しをするのがとっても楽しみでした。 Rさんは17歳ぐらいの時にヨーロッパからオーストラリアに移り住み、母国語でない英語の習得に悪戦苦闘し、看護師となりました。立場が似ていることもあり、Rさんの経験談を聞くだけでいつも私は励まされます。 ロマンティックなことに、Rさんは旦那さんとは移住してくる時のヨーロッパからの船の上で会ったのでした。その頃は飛行機ではなく船でオーストラリアに渡るのが一般的で、数ヶ月かかったそうです。「何ヶ月ものつまらない船上暮らしになるはずが、彼のおかげでとても楽しい航海になったのよ」と今でもとても嬉しそうに話をします。 Rさん「私達の若い頃は、結婚するまで手をつなぐことさえ許されないような時代だったから、彼は本当に結婚式まで手をつなぐこともせず、紳士だったのよ。」 と話したかと思うと、 「今の若い人はそう言ったってね、時代が時代だから、時代が変われば人も変わっていくのよね。」 と時代の流れに寛容なRさん。 旦那さんのことを思い出してふと寂しそうな顔を見せたかと思うと、 「でもね、悲しんでばかりはいられないじゃない。前に進まないと。」 と満点の笑顔を見せるRさん。芯(心)の強さを感じます。 姪御さん夫婦が一応後継人となってはいるものの、気を使ってなかなか用事をお願いすることができないと思うくらい人のいいRさん。 いくら物忘れがあって同じ話を繰り返すことがあろうとも、その人間性には本当に尊敬の念を抱きます。 Rさんの口癖は「Never Mind!」 Rさん的にこの2語を訳すと 「小さなこと、どうにもならないことは気にしないで、前に進んでいこう!」 私の大好きな言葉です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004年12月30日 23時20分38秒
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