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カテゴリ:短歌・俳句如きもの
以下の文章はイランのネットがおかしくなる前に書きました。 遅くなりましたが記載します。 イランのネットは今後も頻繁におかしくなりそうです。 いろんな事情がありすぎるので書きません。 今はやっと通常に近いネットに戻りました。 英語以外の外国語でコミュニケーションしているのと 検閲にも時間がかかるからネット速度を亀にするだけでは足りず、 使えなくするんではないかた・・・などと 疑いたくなります。 何はともあれ、記事を更新できるうちに更新します。 フィルターブロックも重い! コメントのお返事が溜まりに溜まって申し訳ありません。 少しずつになってしまいますがどうぞ、どうぞお許しくださいませ。 先日私はこう書きました。 谷崎潤一郎氏の初期の作品を読みました。 『母を恋うる記』 『異端者の悲しみ』 などを読んでみると 彼も、夢と現の間を彷徨っていた人であろうと思いました。 また、鋭い視聴覚による描写は彼の作品の魅力そのものです。 このような感想を持ちましたが、私は彼の初期の作品しか読んでいません。 彼の代表作と言われる、『春琴抄』『細雪』なども未読です。 今読みたいと切に思いますが、異国にいる私には容易にそれは叶いません。 私が上記したような感想を持った、彼の文章を記しておこうと思いました。 『刺青』より 清吉が刺青をいれる娘の描写 足 拇指(おやゆび)から起こって小指に終わる繊細な五本の指の整い方、 絵の島の海辺で獲れるうすべに色の貝にも劣らぬつめの色合い、 珠のような踵(きびす)のまる味、 清冽な岩間の水が絶えず足下を洗うかと疑われる皮膚の潤沢。 顔 不思議にも長い月日を色里に暮らして、 幾十人の男の魂を弄んだ年増のように物凄く整っていた。 刺青をされた後、知覚を快復しつつある娘の描写 重く引き入れては、重く引き出す肩息に、蜘蛛の肢は生けるが如く蠕動(ぜんどう)した。 蠕動:うごめく 『異端者の悲しみ』より 冒頭の部分 夢を見ている事を明らかに知っていた。中略 眠りと目覚めの中間の世界に彷徨いながら、中略 なるべく現在の半意識の状態に揺られていたかった。中略 自分のような病的な神経を持つ人間でなかれば、容易に到達する事の出来ない 尊い境地であるかの如く楽しまれた。 『母を恋うる記』より 月夜の静寂の描写 その時風はぴったりと止んで、あれほどざわざわと鳴っていた松の枝も 響きを立てない。渚に寄せてくる波までがこの月夜の静寂を破ってはならないと 力(つと)めるかの如く、かすかん、遠慮がちな、囁くような音を聞かせているばかりである。 それは例えば女の忍び泣きのような、蟹が甲羅の隙間からぶつぶつと吹く泡のような、 消え入るようにかすかではあるが、綿々として尽きることを知らない、 長い悲しい声に聞える。その声は「声」と云うよりも、寧ろ一層深い「沈黙」であって、 今宵のこの静けさを更に神秘にする情緒的な音楽である。・・・・・・・・ このときに出会った女(母)の顔の描写 般若の相ではない。般若の頬ぺたがあんなに膨らんでいる訳はない。 膨らんだ頬ぺたの蔭から、少しずつ、実に少しずつ、 鼻の頭の尖りが見えて来る。ちょうど汽車の窓で景色を眺めている時に、 とある山の横腹から岬が少しずつ現れて来るような工合である。 中略 横顔以上のものを私に見せようとしない。鼻の線を境にした向こう側の反面は、 山陰に咲く花のように隠れているのである。女の顔は絵のように美しいと共に、 「絵のように」表ばかりで裏がないかの如く感ぜられる。 以上引用 私は大学時代に『刺青』の 重く引き入れては、重く引き出す肩息に、蜘蛛の肢は生けるが如く蠕動(ぜんどう)した。 この一文を読んだときに、 娘の悶える後ろ姿に、 背の刺青の女郎蜘蛛が、生まれ出でて這い出す瞬間 をはっきりと見た。 そして、彼は天才だったに違いないと思った。 谷崎の 天賦の才で 刻まれし 女郎蜘蛛は 今 蠢(むくめ)かむ にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年10月11日 01時09分08秒
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