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Maryam's HP 日記

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2014年09月05日
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カテゴリ:おとぎ話 ”春”




 

おとぎ話 ”春”posted by (C)maryam f d

 


おとぎ話 ”春”posted by (C)maryam f d posted by (C)maryam f d

お友達の すぅーちゃん が 春 をイメージして描いてくださいました。<(_ _)> 

とても嬉しゅう御座います♥



おとぎ話”春”<1>は こちら からどうぞ








春<22>



お雪の婚礼の日取りが明確になった半年前から、彼女の家の者は各々、

婚礼準備のための仕事や雑用が、山という程積み重なっていたのだった。

冬の間も、すこしずつ準備は整えられていたが、

季節が春に近づくにつれて、お雪の家の者たちにとっては、

朝と晩は交互に飛ぶように過ぎて行くように感じられ、

お雪がこれまで、家族の中で分担されていた仕事が滞りがちになっていき、

お雪以外の者の仕事も手薄に、おろそかになっていたのだった。



お雪とお春の家の家計の具合には、かなりの隔たりはあったが、

二人は幼い頃から、気があってよく遊ぶ仲だった。

そして春が、幼くして母のお初を失ってからは、

雪がこの不憫な友を家に連れて来るたびに、雪の両親は家族と同じ食卓で春を囲んで、

食事を摂らせていたのだった。



雪がさまざまな準備のために大変忙しくなっていった頃から、

春は、彼女の弟や妹たちの世話や、

雪がこれまで担っていた家の仕事などを、手伝うようになっていたのだった。

春は幼い頃から父に読み書きを習っており、

数え年十五となった今では、それがそこそこ身についてきていたので、

そして気立てが良く、素直なお春には、お雪の祖母や母も全幅の信頼を置いていたので、

身体の踏ん張りは効かないけれど、臨時の使用人には任せられないような仕事、

言伝てやお遣いを、春に頼むことが多くなったのだった。



春はその報酬を目当てに手伝っていたわけではなく、

非力な己が雪の婚礼のために、雑用であってもしてあげられることが嬉しかったのだが、

それでも、事あるごとに、雪の母から、農作物や、衣類や雑貨などのお下がりや、

その日の食事をお裾分けしてもらえることは、彼女と彼女の父にとって、

身にしみて有難いことだったのも、事実であった。



晋吉が、祖父と父の都合が悪く、庄助爺のところへの往診を頼まれたこの日、

お春の方も偶然に、お雪の祖母から仕立て物屋への用達しを頼まれ、

この界隈へ来ていたのだった。







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Last updated  2014年09月05日 17時12分24秒
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